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2009-10-29

「深夜食堂」 原作&ドラマ

ランチ仲間M嬢からの熱い薦めにより、今秋のドラマ「深夜食堂」を第1回から見ている。
更には、原作漫画の第1巻~最新刊の第4巻まで強制的に貸し出しを受けた。(笑)
M嬢は長年の小林薫ファンであり、原作のファンでもあるのだ。

ドラマ第1回を観た後で原作を4巻全て読み、その後、ドラマ第2・3回を視聴した。
現時点で感じたことを書いてみる。

ざっくり言うと、ドラマも漫画も、大人向けの渋くて無駄の無い、好感触の作品だと感じた。

まずは原作から。

Meshuya

 深夜食堂 (安倍夜郎 著/小学館)  

一話完結スタイルで、殆どの話は10ページほどの短編。
それぞれ、一つの料理を巡るストーリーになっている。
料理というほどでもない納豆や冷やしトマト、鰻の蒲焼のタレ、なんていうのも登場する。
料理が準主役だが、薀蓄もレシピもない。

舞台は新宿と思しき繁華街の片隅にある、零時から朝7時頃まで営業しているカウンターだけの小さな食堂。
メニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎だけだが、食べたいものを注文してくれれば、その日仕込んだ材料で作れるものなら作って出すよ…というのが、マスターの営業方針。
主人公は、このマスターであり、彼が語り手でもある。
読者は、マスターの語りを聞く客の一人となって、この作品世界に自然と入ってしまうのだ。

マスターは、ちょっとワケあり気なのだが、過去などの背景は一切不明。
そして、彼はあくまでも受け手。
ストーリーは、この店にやって来る常連や初顔の客たちが動かしていく。
店に集うのは、夜のお仕事の人々、宵っ張りのサラリーマンやOL、新聞記者、文化人、ヤクザ…などなど。
切なかったり、ほのぼのしたり、ほろ苦かったり、甘かったり…という話を淡々と、説明し過ぎず想像の余地をたっぷり残して描いている。
ほとんど何も起きないような『食べ物あるある』的なエピソードもあり(「プリン」など)、私はこういうテイストの話も大好物。
淡々としてはいるが、素っ気無く突き放したスタンスではなく、客たちをマスター(と作者)が、余計な口出しをせずに暖かく見守っている雰囲気なのだ。
ちょっとワケありな人々のオトナな話や、艶っぽい話もあるが、決して品が悪くならない。

そして、この作品の大きな魅力は、なんとも美味しそうな料理の数々。
たらこや納豆からビーフストロガノフまで、様々な食べ物が登場する。
写真のようにリアルに描かれているわけではないのに、食欲をそそる。

そう感じさせる要因の一つは、食べる人々の実に旨そうな表情だ。
食べた後のなんとも言えず幸福そうな顔。
彼らは決して旨さを長口舌で延々と語ったりせず、表情で読者に伝えてくれるのだ。

「おいしそう…自分も食べたい!」という気持ちは、どうやら登場人物同士でも同じらしくhappy02、他の客が旨そうに食べている料理を他の客も注文するることが多い。
このあたりも、読者が店の中に居る様な気分にさせてくれる。
読んでいるうちに、唾が湧いてきてしまう。
そして、熱々ごはんにバターを載せて醤油をかけてたべたくなったり、タマゴサンドを頬張りたくなったり、甘い卵焼きを作りたくなったりするのだ。(あら、高コレステロールのものばかり…sweat01
実に罪深い作品だ。happy01

とまあ、好印象を持っている作品なのだが、巻が進むにつれて、少しずつ饒舌になって来ているように感じるのが気がかり。
私は、この作品の余白が充分にある語り口が魅力だと感じている。
前述したように、余白があるほうが、想像の余地があり、それだけ作品世界のことや、登場人物の気持ちを深く考えられると思うのだ。
(ハゲタカはその良い例だ。←おかげで、勝手な解釈ばかりしているが…。)

だから、このまま饒舌になっていくと、かえって登場人物や料理への思い入れに浸れなくなりそうで、寂しい気もする。

さて、ドラマのほうは、どうだろうか。

番組公式HP
http://www.meshiya.tv/

今のところ、原作の世界観をきちんと活かして描かれていると思う。
マスター役の小林薫が、抑えた演技で実に渋い。
「カムイ外伝」で異常にハイテンションな演技をさせられていたことを思うと、俳優さんて感情のふり幅が大きすぎて大変だなぁ、と思ったりするが、彼くらいのベテランで手練ともなれば、別にどうってことないのかもしれない。

常連客の面々もゲストも、燻し銀の曲者揃い。
松重豊、不破万作、綾田俊樹、田口トモロヲなどなど。
客たちの個性が強烈だが、実は必要以上に突出していないので、キャラの個性だけで盛り上げて内容が薄くなるようなこともない。
オダギリジョーの贅沢な(?)使い方なんかも悪くない
原作の1エピソードが短くて余分を削いだ作りなので、2つのエピソードをうまく絡めたり、少しだけ膨らませてあったりするが、無理は感じない。

主要な舞台となる店の外観や店内セットも、原作の世界を活かして良い感じにアレンジしてある。

もちろん、こちらも料理が素晴らしく美味しそうだ。
出来上がりたけでなく調理シーンも魅惑的。
毎回登場する豚汁の材料を炒めるシーンを見るたびに、
「こんなシーンを夜中に見せるなぁ~crying」とクッションを抱いてバタバタしてしまうぞ。
(番組HPの写真も涎が垂れそうだ。)
「かもめ食堂」、「めがね」、「南極料理人」を手がけたフード・スタイリスト飯島奈美さんが担当されているだけあって、かなりの誘引力。
空腹時に観るのは危険なドラマだ。

 ★・★・★ おまけ情報 ★・★・★

「深夜食堂」のレシピ満載な“副読本”

 「深夜食堂の勝手口」が10月30日に出版されるそうです。

詳細はコチラ →  http://www.meshiya.tv/blog/#95

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