« NHK土曜ドラマ「外事警察」で掌が痛くなる、の巻 | トップページ | 私が選ぶ2009年の漢字 »

2009-11-16

大佐とdate on Friday!~映画「クヒオ大佐」鑑賞

先日、やっと、 『クヒオ大佐』 とのデートが叶った。

いよいよ都内および周辺の上映が終了しそうなのに、仕事がバタバタして、早退して鑑賞…が難しくなり、焦っていたのだが、思わぬチャンスが到来!

夫が日帰りの仙台出張のため、13日は帰宅が遅くなるというのだ。
(11/14 「仙台みやげ」)

13日の金曜日、私にはジェイソンすら味方のような好運の日だ!
私は喜びを隠そうともせず、小躍りしながら
「じゃ私、明日は映画観て帰るから遅くなるけど、よろしくねheart04
と一方的に言い放ち、映画の上映スケジュールを調べ始めたのだった。

金曜日の昼に、私と同じく堺雅人さんを好きなランチ仲間M嬢を誘ってみると、二つ返事でOKしてくれた。
定時退社して、2人で雨も風もなんのその、笑顔で大佐に会いに行ったのだった。
全席指定なので、まずはチケットを確保。
席はベスト・ポジション、ど真ん中。

開演まで1時間弱あるので、軽食をお腹に入れつつ、幕末好きでもあるM嬢と来年の大河ドラマ『龍馬伝』の話題で盛り上がる。
幕末の知識が薄い私なんかより、ずっと龍馬周辺に熱い思いいれがあるM嬢は、とくに中岡慎太郎が好きなので、未発表の中岡役について、なまじなキャスティングでは納得できないと鼻息が荒い。
しかし、今の時点で中岡の配役が発表されていないとなると、本当は武市道場に住み込んでいたこともある中岡が、土佐編では出ないのかも…と唇を噛んでいた。
勝の配役を知ったときの彼女の激怒ぶりは相当なもので、彼女がサイヤ人だったら、大変なことになっていた(笑)…と周囲の者は口々に語ったほどに、幕末の人物にアツイ人なのだ。
勝の百倍の想いがある中岡役がどうなるのか、私も心配でならない。

さて、話が脱線しまくったが、本題の『クヒオ大佐』の感想。

いつもどおり、相当にゆるい&生ぬるいが、ラスト周辺のネタバレを含んでいるので、御了解のうえ、ご興味のある方は先をどうぞ。

【監督】
吉田 大八

【STORY】
“父はカメハメハ大王の末裔、母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ、自分は米軍特殊部隊のジェットパイロット”という華麗なる経歴の持ち主、ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺雅人)。だが、彼の正体は純粋な日本人で、デタラメな経歴で女性たちを次々と騙す結婚サギ師だった。あまりにもわかり易すぎる嘘にも関わらず、騙されていく女性たち。クヒオに献身的に尽くす弁当屋の女将、永野しのぶ(松雪泰子)。怪しいクヒオにいつの間にか惹かれていく自然科学館の学芸員、浅岡春(満島ひかり)。クヒオの金の匂いに引き寄せられる銀座のナンバーワンホステス、須藤美知子(中村優子)。コロリと騙される女性たちから、クヒオはおよそ1億円あまりを巻き上げてゆくが……。

                             (Movie Walker より)

では、いつもどおり、ゆる~くてボンヤリな感想を。

観終わった直後に私とM嬢か異口同音に発した言葉は

「堺さん、サイコー!!heart04
であった。

堺雅人の、あの曖昧な微笑みを浮かべたような表情や、知的で品があるけれど、どこか掴みどころがない佇まいあってこそのクヒオ大佐、まさに堺クヒオ、なのだ。
この役は、彼以外の誰でも成立しないと言っても過言では無い。
余人をもって替えがたい。

カテゴライズするのも無粋だが、強いていうなら、ロマンティック・コメディかな?
ただし、ひとひねりも、ふたひねりもしてある。
クヒオ大佐の存在自体がシュールと言っても良いのだが、映画の構成,や展開もシュールで大胆。

映画は、二部構成になっていて、第1部は「血と砂と金」と題する超短編(?)。主演は内野聖陽。
湾岸戦争時、日本は対米交渉の末、多国籍軍への多額の資金協力を約束する…というところで第1部終了。
「えっ?ナニ?」と目を白黒しているうちに、「第2部 クヒオ大佐」が始まる。
ワケわからん…と思っていた第1部も、第2部終盤にリンクしてくる。

静かな森に忽然と、アメリカ空軍の制服姿でスクリーンに初登場するシーンでは、場内にクスクスと笑いが起った。
それくらい、見るからに胡散臭い…いや、嘘くさい男。
彼が話す片言の日本語も、特別な任務とやらも、整形したと思しき高い鼻も、なにより、有り得ないロイヤルな(笑)血縁関係も、普通なら噴出してしまうバカバカしさと嘘くささだ。
なのに、何故、女たちは騙されてしまったのか?

考えても納得できる答えは思い浮かばない。
ラスト近くで、クヒオが言う、「騙したんじゃない、相手が望むことを言っただけ。」というのが真実かもしれない。

そして、最後までクヒオに尽くし続ける弁当屋の女社長・しのぶが学芸員・春に言う「彼があなたを好きになったから。」も真実かもしれない。

女達の心の隙間に入り込みながら、どうにも不器用で脇が甘い、いや、甘いどころか、脇がスカスカなクヒオ大佐。
危なくなると目が泳ぎまくるところや、何十回も腕立て伏せをしてみせたり、全力疾走して車を追ったりする必死さ。
滑稽で懸命なクヒオは、どこか憎めなくて、いじらしくさえ感じてしまう。
…おっと、こうして騙されるのか?(笑)

クヒオの辛い生い立ち(と思われる)が、終盤で描かれるが、決して彼自身の言葉では語られず、映像でサラリと表現され、そこに恵まれた生い立ちを語るクヒオの独白が被る。
下手なお涙頂戴にならず、カラッと乾いた感じで、本作の堺クヒオのキャラクターイメージを損なわない。

もしかして、この悲惨な生い立ちにもクヒオの想像と妄想による創作が入っているのかもしれないが。

幼少期の辛い体験、それを消去して生き抜くために創り上げた嘘の自分。
なんだか、『ハゲタカ』の劉一華みたいだが、クヒオには、劉のような退路を断った痛ましさは微塵も感じられない。

彼は、自分が構築した嘘の自分に成り切っている。
アメリカ空軍のパイロット、ジョナサン・エリザベス・クヒオであることに、何の迷いもない。
親友が戦死した時のことを語りながら次第に激高し、キレて立ち去るシーンなど、完全に彼の中では経験した事実を語っているようなアツさ。
場内大爆笑。
いつでも、アメリカ空軍のエリートパイロットになりきって、フィクションの登場人物そのもの。
成り切っているから、女たちとの恋愛にも、本気なのかもしれない。
夢の世界に生きて、女たちを愛し愛される王子、それがクヒオ…なんて言ったらロマンティック過ぎるかな。
だいぶマヌケでセコイ王子様だし、そもそも詐欺師だからね。(笑)

だけど、しのぶにとっては、クヒオは、世知辛い現実から逃避して夢の世界に連れ出してくれる王子様だったし、春にとっては、モヤモヤした不満と決別するきっかけをくれた理解者でもあったと思う。
何よりも、2人にとって、自分が誰かに必要とされている、と確認させてくれる言葉をくれるクヒオは、他の男と決定的に違ったのだ。
彼女たちの一方的な思い込み、幻想ではあったけれど。
そんなふうに、女達の幻想の中で、クヒオは生きていた、とも言える。

そんな虚構世界の住人・クヒオを現実に引き戻す人物が、しのぶの素行不良だが賢い弟(新井浩文)だ。
姉を騙す詐欺師の上前をはねようとする弟と、学習能力が足りなくて詐欺師なのに素直な(笑)クヒオの会話が、理屈抜きにおかしい。
この弟の存在がピリリとしたスパイスになっている。


もう一人、クヒオを手玉に取ろうとするのが、銀座の高級クラブのNo.1ホステス・美知子。
クヒオの語るあからさまに怪しい投資話を黙って聞いた後、嫣然と微笑みながら言う一言、いや~さすが、銀座の女はすごい。
クヒオがかなう相手ではない。
彼女がもう少し活躍してくれても面白かったかな。
勝負にならないが、それでも懸命に駆け引きしようとするシーンの堺クヒオの表情たるや、必死で愛らしいこと、このうえない。
そんなところを、実は美知子も魅力と感じていたのではないかしらん。(相当に、フィルターがかかっております。sweat02)

終盤は、どんどん話が転がっていき、冒頭(第1部・第2部とも)とリンクして、風呂敷が広がって更にアッと驚くブッ飛び方…と思わせて、なるほど、うまく風呂敷を畳みましたな、というオチ。

堺さん自身がインタビューで、「クヒオはゼロに近い抽象的な存在」「クヒオは3人の女性の踏むステップ。」と語っているように、クヒオに翻弄されたり翻弄したりする3人の女性が、実は主人公であり、クヒオは彼女たちの心のありようを映す水鏡のような存在だと思う。
綺麗に磨かれて、きちんと自分の姿を映す鏡ではなく、ゆらゆら揺れる不安定な像を映す水鏡。
本当の自分を捨ててしまって、揺れる足下を押さえるために、クヒオは懸命に地面で腕立て伏せをしていたようにも思えた。
なんて、深読みしすぎ?(笑)

第1部については、私は 別に無くても構わないと思った。
映画の知識が乏しいから、感覚的・直感的にしか言えないのだけれど、日米関係についてとか、世界の中で日本はどうあるべきか、というような事は置いといて、そしてクヒオの愛情飢餓について深く考えたりとか、そういう難しい四角張ったことを抜きにして、楽しんだほうが素敵な作品じゃないかな。
バカバカしく滑稽で、しんみり切ない男と女の話として。

クヒオが女たちの水鏡であるように、観る側が、この映画から何を掬い取りたいか、によってこの作品の楽しみ方は変わるのだと思う。
クヒオという水鏡に映る、女達の淡い夢や寂しさや漠然とした不満と不安、そして欲望やふてぶてしいまでの逞しさを観ながら、ちょっと苦い笑いを噛み締めるのも良し、憎めない結婚詐欺師・クヒオ大佐の不思議な魅力に浸って大笑いするも良し、日米の関係について考えるも良し、である。

いつも通り、ゴールを見失いながら迷走してしまい、きちんと筋道だてて書けなかった。
やっぱり、文章を書くのは苦手だ。wobbly
読みづらい長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

« NHK土曜ドラマ「外事警察」で掌が痛くなる、の巻 | トップページ | 私が選ぶ2009年の漢字 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/114892/46755374

この記事へのトラックバック一覧です: 大佐とdate on Friday!~映画「クヒオ大佐」鑑賞:

« NHK土曜ドラマ「外事警察」で掌が痛くなる、の巻 | トップページ | 私が選ぶ2009年の漢字 »

フォト

超お手軽ゲーム

最近のトラックバック

無料ブログはココログ