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2009-11-24

『外事警察 第2話 協力者』

今クール、『深夜食堂』と並んで、私が最も楽しみにしているドラマ。
第1回を観て、即、陥落。(笑)
『外事警察』は、暗くて鋭利で、相当にエグ味が強く、緊迫した場面が続くドラマで、観ている間は全身が鋭敏になってしまう。
観る側にも、相応の心の準備が必要で、気楽に観られる作品ではない。
第1回は録画しそひれたが、今回から毎回録画を設定。
食事も済ませ、お茶も淹れ、準備万端整えて、今回もリアルタイムで観た。
録画したものは、すぐに観る精神力が残っていないので(弱)、気力・体力が充実した時に見直したい。

毎回の感想は書けないと思うが、今、吐き出さないと、次回まで頭がパンパンだし、エグ味が舌に残っている気がするので(ヤな例えだ)、ストーリーを追う形ではなく、思い浮かんだことを羅列してみる。

『深夜食堂』とは真逆の世界だが、人の心のありよう、人と人との繫がりが核となっている人間ドラマである点は同じ。
誰も信用できないのか?と思わせられる一方で、外事捜査官と協力者の他者には決して入り込めない特別な信頼関係が描かれていた第2回であった。

番組HPに、登場人物と相関図がアップされたので、気になる外事4課メンバーが改めて確認できた。
このキャストが、まあ本当に、お見事。
住本班の面々は、超有能な切れ者揃いだが、いったん街に出れば気配を消し、街に溶け込む。
電車やレストランに居ても、なんの気配も発しない。
周囲の人に、後で人相や行動を尋ねても、「えっ、思い出せない…」という答えが絶対に返ってくるはず。
存在感の出力調整が出来る俳優さんて、やっぱりスゴイ。
(大森南朋さんも、そうだと思う。)
「存在を消す」達人・久野役に、映画『ハゲタカ』で劉一華の最期に関わった謎の男を演じた滝藤賢一を持ってきてるなんざ、クゥ~ッと唸ってしまう。(オヤジモード全開。)

冒頭で、住本を監視する警視庁警備企画課理事官・倉田(遠藤憲一)と住本の笑顔を交えた静かな会話があったが、これが背筋も凍る恐ろしさ。
笑顔が怖い人は、ホントに怖ろしい。
エンケンのコワモテの魅力が大爆発ですよ。
さすがに、『白い春』の時の愛情深い実直なパン屋さんとは顔つきが違う。別人だ。(当たり前だけど。)
倉田の顔で、『白い春』で娘役だった大橋のぞみちゃんに対面したら、絶対に泣かれる。(←ヒドイ)

女優陣の抜けの無い、地に足が着いた仕事ぶりにも、毎回しびれる。
陽菜役の尾野真千子さんは、本作で初めて意識した役者さんだが、素晴らしいと感服している。
やる気のある所轄の刑事志望の警察官から、自問自答を繰り返しながら苦闘し苦悩し、住本にストレートに立ち向かい、外事4課のメンバーとして成長していく姿が自然で、演技の計算や技巧が匂ってこない。
ワンパターンの表情しかできない売れっ子女優でなく、この人を持ってきたところは、製作陣の目の高さを物語っている。
いや、彼女を知らなかった私が言うことじゃないけどね。
陽菜が、冒頭のシーンにたどり着くには、どういう闇と澱を踏み越えていくことになるのだろうか。

また、出番は少ないけれど、官房長官役の余貴美子さんに、私は毎回シビレている。
あのいけすかない声と喋り方、全身から噴出すイヤな女オーラ。
ゾクゾクしますわ。sweat02

今回のサブタイトルは『協力者』。
住本の協力者・ニケとの関係と、彼が陽菜を通じて新たに獲得しようとする下村愛子への接近過程をじっくりと描いて、外事捜査官と協力者の関係とはどういうものかを、外側から少しずつ彫り込んでいって、やがて、くっきりと厚みをもって浮かひ上がらせる。
ニケが最後の仕事を引き受ける際の、たったひとつの台詞と表情で、二人の間にはニケの妻すら入り込めない特別なものがあるということがわかる。
そして、別れの時。
上司と部下でも同志でも友人でもない。
利害関係の一致がある、というのは確かだが、住本がニケの心の暗く弱い部分を我が事ととして引き受けてきたからこそ、ニケは妻子のためだけでなく「タムラサン」のために危険な任務をやってのけてきたのだ。
それほどの特別な信頼関係を結びながら、決して二度と会わないだろうに、目を合わせることなく別れる二人。
端的な言葉と微妙な表情が、やり切れないような不思議な感情を、私の中に湧き上がらせた。
こういうところでも、唸ってしまう。
引き合いに出すには、いろいろ違いすぎるけれど、自分が大好きな池波正太郎作『鬼平犯科帳』での長谷川平蔵と密偵たちの関係を思い出してしまった。

弱みを握って言うことを聞かせるというような、単純明解な関係性ではない。
自分が下村愛子を協力者として獲得する手段のひとつとして、住本に抜擢されたと気づき、それでも愛子獲得を申し出る陽菜。
愛子を守りたいという気持ちと、自分が最も愛子をうまく(言葉は悪いが)落とせるという自負、そして自分は外事捜査官だという自覚、それら全てが彼女の中で同じ重さになったから、動いたのではないか、と私には思えた。
そこまで陽菜は成長してきたということだろう。
だが、愛子を傷つけたくない陽菜に対して、協力者を運営することの、彼女が経験したことのない重さを容赦なく突きつける住本。
深い闇を内包し、その闇を自ら覗き込みながら生きてきた彼だから、恐ろしく説得力と迫力がある。
恐らく、この荒っぽいやり方も、彼の計算づくの教育方法なのだろう。

協力者を「運営する」、という言葉にドキッとする。
協力者が捜査官の道具の一つとして、うまく機能するように操作する、というイメージが浮かぶからだ。
しかし、言葉から感じるような無機質な関係ではない。
協力者の精神奥深く入って同化して、心の闇を探っていくサイコダイバーみたいな作業は、運営する捜査官の内部も蝕み歪ませるだろうと、素人でも想像に難くない。
精神的な痛みを共に味わうことなるわけだし、下手をすると自分も相手の闇に飲み込まれかねない。
全てを理解し呑みこんだ、その相手を利用して危険なことに巻き込むわけだから、タフだ非情だ、というだけでは務まらない。
相手の感情に同調しすぎては、自分も闇に呑まれるし、任務を遂行できない。本末転倒になってしまう。
だが、情に篤く真摯に協力者を思う懐の深さが無くては、相手の信頼を得て、協力者が自分のために危険を冒しても良いと思うまで絆を強めることはできない。


そう思うと、住本の背筋が凍るような凄みと、どす黒い輝き(妙な日本語だが)が納得できる。
彼の凄絶な過去を覘かせる回想シーンについてのこと。
そして、公安の捜査官となってからの暗闘も、これから明かされていくのだろう。
彼か喪って来たものはいったい、どれほど大きく深いのだろうか。
今まで、自らの闇に喰われずに生きてきたこの男の心中を想像しようとするだけで、慄然とする。
この先、ますます目が離せない。
怖いけれど、観たい。

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