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2009-12-07

映画『築城せよ!』DVD鑑賞

『外事警察』第3回の感想を書きあぐねているうちに、あっと言う間に第4回。
ますます、緊迫感が高まり、誰も信じられない展開。
相変わらず、心身の疲労を伴う強烈なエグ味のあるドラマだ。
体内に残る、その毒素を排出したくて、後味の良さそうな作品を借りてきた。

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「築城せよ!」

内容紹介

戦国時代の武将たちが、段ボールで城を建てる?!
痛快、築城エンタテインメント!!

【ストーリー】
2009年、過疎化がすすむ町・猿投(さなげ)に突如として現れた3人の戦国武将。彼らは400年前、分の城を完成できずに無念の死を遂げた侍の霊だった。
殿様の「築城せよ!」という号令の下、町おこしを願う住民達を巻き込んで、壮大かつ無謀なプロジェクトが立ち上がる。素材は段ボール!残された時間はあと3日。意味不明の号令と傍若無人な振る舞いに、住民たちの間で不協和音が流れる!!やがて、ひたむきに築城に打ち込む殿様の姿に、大学生・ナツキを中心にして、いつしか住民たちの心も一つにまとまっていく。
しかし、もともと築城現場に工場を建てようとしていた町長一派は、段ボール城を撤去しようと、秘策を練っていた。そして完成まであと一歩と迫った夜、宴会で盛り上がる段ボール城を、町長が組織した一団が静かに包囲する。
果たして、城は無事完成するのか。それとも、ひとたまりもなく壊れてしまうのか!!築城に秘められた真意とは!?

【監督】  古波津陽
【キャスト】
片岡愛之助 海老瀬はな/江守徹
阿藤快 藤田朋子 津村鷹志 木津誠之 ふせえり ほか

(amazon.co.jp より)

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気になっていて、上映中に観たかったのだが、不運にも(笑)、『ハゲタカ』と公開時期が重なっていたため、結局、観そびれた作品。
レンタル店の新作コーナーに出ているのを発見し、早速、1泊2日で借りて、家事を一通り済ませた日曜の午後にのんびりと鑑賞。
うん、『外事警察』の毒素を出すにはピッタリ。
デトックス映画?happy01

以下、いつもどおりの天然系ゆるゆる感想。
ゆるいながらも、がっつりとネタバレを含んでおりますので、OKな方のみ、先にお進みくださいませ。

過疎化が進む町を舞台に、遺跡の発掘現場で蘇った3人の戦国武将の魂が、地元住民を巻き込んで゙、生前に成し遂げられなかった築城を果たそうとする。
しかも、その材料は段ボール。
仮の肉体を得て蘇った400年前の猿投の領主・恩大寺隼人将と家臣二人の霊魂が現世に留まれるのは次の満月まで。
残された時間はあと数日。
城は完成するのか!?

という破天荒なストーリーを聞いただけで「み、観たい…」と思っていた私は、やはり、ちょっと変わった好みなんだろうか…(笑)。

戦国武将と現代の町役場のダメ職員・石崎の二役を演じるのは、上方歌舞伎界のプリンス、片岡愛之助。
ドジでイケてない青年が意外とハマッていてビックリしたのだが、戦国武将が乗り移って鎧兜姿で登場すると、もう別人!
発声はもちろん、視線にこめる力や、歩みぶりを初めとする身体の操り方が、まるきり変貌。
(髭は?とか突っ込んではいけない。)
殿の威厳と存在感が濃厚に漂い、それはもう凛々しいのだhappy02

仕舞を舞うシーンは、さすがに素晴らしく、惚れ惚れする。
実は、仕舞の2シーンだけ、後からリプレイしたほどだ。(笑)
築城を果たせなかった無念で凝り固まっている隼人将は、最初は、ただ町の人々に当然のように「皆の者、築城せよ!」と命じ、思うようにならないと奇想天外な行動に出る。
シヤッターが目立つ商店街を騎馬武者が疾走するシーンは、シュールな絵の面白さと、現代日本が抱える問題が両立していて、見所の一つ。
やがて、領主としての自分に足りないものは何かを自問し始めた隼人将は、成り行きで城の設計をすることになる大学生・ナツキや、現代との橋渡し役である考古学者・岩手の導きで領民の末裔である猿投の人々と交流するうちに、領主として大切なことに思い至り、また、過去から因縁のある町長・馬場の猿投への思いにも気づいていく。
隼人将が、築城に固執するあまり、自らの力不足で、家臣も領民も妻子も、そして領土も全て失ってしまった深い慙愧の念、大きな喪失感を、ナツキに静かに語るシーンは、とても切ない。
彼が、間もなく滅ぶことを前提とする段ボールの城を築こう必死になるのは、400年間前に喪った者達に手向けるためであり、同時に、疲弊しバラバラになっている自分の民の末裔たちが、城作りを通して心を合わせ、彼らが自らの力で活気を取り戻すきっかけを渡すためだったのだろう。
そうすることが、隼人将にとって、喪った者達への、そして自分自身への鎮魂の儀式だったのかもしれない。
だから、殿様は凛々しいだけでなく、すっくと立つ後姿に決意と哀感があるのだ。
片岡愛之助が「殿様」隼人将を演じたことで、この破天荒なストーリーに監督が籠めたメッセージの説得力が随分と強くなったと思う。
ナイス・キャスティング。

殿様と対立する町長・馬場(江守徹)は、最初は突然に出現した戦国武将に押されっぱなしだが、やがてダンボール城を
撤去せんと策を練り、次々と指示を飛ばしていくうちにイキイキと輝いて来る。(馬場の「城攻め」の秘策が傑作だ。)
悪鷲津(爆)がツホな私は、策士ぶりにウットリする町役場職員(ふせえり、ナイス!)の気持ちもわからんでもないのであった。
いや、馬場町長には全然ウットリしないけど、仕掛ける男、戦略家が策略を練り、実行に移していく姿に魅力を感じるのは、わかるなぁ。(私は鷲津に関してだけだが。)
単なる憎まれ役に見えた馬場の深い思いも、やがて明らかになっていく。

あとは天守閣に鯱を掲げるのみ、というところまで完成に近づいた城が、朝日を浴びてそびえる姿は、それが段ボールで出来ていることを忘れさせるほど威風堂々として、圧巻だ。
住民たちが、たった三日でここまで作り上げた原動力は何か。
殿様・隼人将の強く真摯な思いが伝わって、地元住民たちが自主的に巻き込まれ協力していくようになる様子は、まるで強い磁石に蹉跌が引き寄せられていくようにも見える。
住民達も、町と自分達を元気にしたい、何とかしたい、とい気持ちがあればこそ殿の思いに呼応し、引き寄せられた、ということ。

朝陽に照らされて黄金に輝く城と鯱。
共に築城を成し遂げた住民たちに語りかける殿様の万感に満ち溢れた表情。
そして、なんと美しくはかない“落城”シーン。

人が手を取り合って、一つのことを成し遂げようとする姿、結果かどうであれ、その過程で心が響きあい結ばれていく関係、そして、人の手でものづくりをすることの大切さ。
形ある物は、滅びる。
滅びるから、美しく尊い。
けれど、有形の物を作り上げた人の思いという無形のものは、決して滅びず、それに携わった人の中に残り続ける。
それもまた、美しく、尊い宝なのだ。
そんなことを、説教くさくなく、堅苦しくもなく、自然に考えさせられるクライマックスからラスト。

ファンタジックなストーリーの中に、地方の疲弊とハコモノ地域活性策など、現代日本が抱える問題も、うすーく散りばめてあるのだが、これらを深追いせずに、あくまでも“築城エンタテインメント”で押し通したところが良かったと思う。
リアルと大風呂敷のバランスとか、緻密さとか、ストーリーテリングの妙味を求めるタイプの作品ではないのだ。
ものづくりの大切さ、人の絆、志、地域のつながりと郷土愛…まっとうなメッセージを伝える、ちょっと荒削りな手作り感ある、前向きで爽快で良心的な快作だと思う。

特典映像として収録されているメイキング「『築城せよ!』を築城せよ!」を本編鑑賞後に見ると、面白さが倍増。
本編は、奇想天外なストーリーと共に、実際に猿投に25mもの高さの段ボールの城を築いていく過程を描いていくという、いわばフィクションとノンフィクションの両面がある作品で、この趣向が破天荒で御伽噺のようなストーリーに不思議な安心感を加えている。

本編では、尺の制限のためか、城を作り始めるまでは大変だが、いざスタートすると、築城過程が意外とサクサク進んでいって、そこが少し物足りない気もしたが、その分、セットとしての城作りには様々なトラブルが発生し、美術監督以下スタッフが乗り越えていく様子を観られるので、メイキングで食い足りなさを補うことができる。
邪道な鑑賞態度かもしれないけれど、私はこれで結構満足できてしまった。

メイキング映像では、段ボール城作成に取り組む美術スタッフたちのプロフェッショナルな仕事と、映画作りに全面協力した愛知工業大学の学生たちの奮闘、更にロケやエキストラ出演でバックアップした地元住民の自主的巻き込まれぶり(笑)が描かれている。
映画の撮影と同時進行で築いていかなければならない段ボール城。
風雨や時間制限と闘いながら、立派に築城される過程は、先述したように、本編を補う面白さあり。
また、学生は授業の一環として、地域住民が町おこしとして関わっていくうちに、映画製作の面白さでワクワクしていく感じも楽しい。
このムードが、本編にもそのまま生きているのだ。

毒素排出をしてスッキリできる、爽やかで、ちょっと不思議な映画ですよ。

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