« 「ゆりかもめ」の車窓から。 | トップページ | MADAM XENLON ARIAKE »

2009-12-16

謎のMr.Hui~NHKスペシャル「チャイナ・パワー 第3回」

NHK総合で12月13日に放送された
NHKスペシャル『チャイナパワー 第3回 膨張する中国マネー』を観た。

中国の投資銀行に密着取材…と聞いて、ハゲタカ廃人の血が騒がないわけがない。

ハゲタカに侵されてしまった脳、いわゆるハゲタカ脳で観たので、まっとうな感想ではない。
全てハゲタカ・フィルターを通して観たら、こんな感じ…という雑感を簡単に書いてみた。

世界第一位の外貨準備高を保有し、国家戦略として海外投資と企業の海外進出を推し進める中国。
去年1年間で、海外投資額が倍増したという。
その中国に、次々に誕生している投資銀行。
その中でも、海外投資戦略に貢献したとして政府に表彰されるほどの海外投資実績を上げている「漢能投資集団」が密着取材の対象だ。
CEOはアメリカ帰りの投資ビジネスのプロ・陳氏。
北京の最先端の高層ビルに立派なオフィスを構え、欧米で長期間を過ごした後に帰国したスタッフが大半を占めている。
業務内容は、中国と海外の間の投資マネーの橋渡しと、海外での中国企業による企業買収の代理人。
取引実績7千億円以上、常時50件の案件を抱える。

番組では、国策であるエネルギー確保を目的とする石油・天然ガス田開発への公的資金の対外投資案件と、海外進出を目論む中国企業が米国で経営資源を得るためのM&A案件を追う。

中国は急速な経済成長に伴い、各エネルギー源の需要が急増。
もちろん、原油も足りない。
ここ数年、海外の油田採掘の権益確保のため、海外石油企業へ積極的に巨額の投資をしている。
世界的不況で油田開発資金不足の各国企業が、その中国の潤沢な投資マネーに群がってくる。
いまや、世界の覇者だったはずのアメリカの大企業が続々と中国詣でだ。

陳氏が手がける国家プロジェクト案件でも、国家開発銀行の融資担当幹部を米国の石油会社代理人に引き会わせて、莫大な資金の源が政府であることを強烈にアピール。
目の前にいる国家開発銀行の投資部門幹部が一人で年間に取り扱う投資金額が3兆元(40兆円)と聞いて、米国側は一瞬、桁違いの金額に目が点になりながらも、涎が垂れそうになっている。
なんせ、資金源は国家だ。

「まともに闘って勝てる相手じゃないな。」(by 鷲津政彦)

陳氏は言う。
「アメリカ人はお金を必要としている。彼らは中国人が金持ちだと知っているから、中国にやってくる。でも、投資を受けられるかどうかは、アメリカ企業の努力次第。」
ちょっと憎らしいくらいの、この自信。
おっしゃるとおりで、グウの音も出ない。

その後、漢能アメリカ支社の担当者は、中国側にとって更に良い条件の投資先を求めて、米国で石油開発業界の有力者と次々と簡単にアポを取る。
中国政府の意を受けているということで、普通ならば開かない扉が軽々と開いていくのだ。

さて、この番組で私が最も気になったのは、漢能投資が取り扱った米国でのM&A案件に買収合戦のライバルとして登場したMr.Huiなる謎の中国人ビジネスマンだ。
中国生まれで、現在は米国で投資ビジネスを営み成功しているMr. Huiは、赤字経営で疲弊している企業を買い叩き、徹底した合理主義Iにより短期間で黒字転換させ企業価値を高めて、高額で転売して、巨額の利益を得て成功している超やり手だという。
そう、まさに、

「目標はただ一つ。安く買って高く売ること。」(by 鷲津政彦)

なのだ。
結局、この買収合戦は、漢能側が政府の融資審査を待っていた僅かな間に、Mr. Huiに素早く「出し抜かれ」て、漢能は買収に失敗する。

しかし、漢能も在米中国人ネットワークを活用して、今度はMr. Huiから目的の米国企業を買おうとうと粘るのだが、Mr. Huiは買収した米国企業を短期間で黒字転換間近まで建て直していて、売値を3倍の価格に吊り上げてくる。
憎憎しいほどに鮮やかなMr. Huiiの手腕に、鷲津政彦を思い出さずにはいられない。
(失礼ながら、見た目は似ても似つかない。sweat02

陳氏は、幹部ミーティングで、Mr.Huiのつけた金額を聞き、案件担当者に「ありえない金額だ。提示金額を出さなければヤツが自分のオモチャにするってことだろう。」と言い捨て、いつものクールさはどこへやら、かなり御立腹の御様子。
同じ中国人にやられたのが、よほど悔しかったのだろう。
だが、これでこの案件がストップしたわけではなかった。
漢能投資は、Mr.Huiとの交渉を続けつつ、したたかに他の買収先を探していた。
その候補に、不採算部門を売却したがっている日本企業2社が上がっているというのだ。

米国的な合理主義と“Time is money.”なビジネスが、スタイリッシュなオフィスで繰り広げられていく一方、人脈を活用して泥臭く粘り腰で挑み続けるところが興味深かった。
そして、そんな漢能投資・北京オフィスでの幹部ミーティングで、誰もミネラルウォーターなど飲まず、お馴染み(?)の蓋付きの大きなマグカップ(もちろん中身は中国のお茶だろう)を各自が持ってきているのを見て、なぜかホッとしたりして、相変わらず、反応するポイントがずれている私なのだ。smile

中国政府は、国家戦略として公的資金を対外投資するのみならず、個別企業の海外進出と、それに必要な経営資源確保のためのM&Aも、大々的にバックアップしている。
外貨交換限度額を撤廃し、M&A資金が必要な企業に対しての低金利の優遇ローンを銀行に用意させた。
中国の企業が国際的な販路や、特許や技術力、各種ノウハウを手っ取り早く手に入れて、一流のブランドを持つためには、海外でのM&Aは最も有効な手段だからだ。


映画『ハゲタカ』で取り上げられたようなことは、近いうちに起きそうなことでなく、実際に起きているわけだ。
もちろん、友好的買収がほとんどだし、美形の若きファンドマネージャーがやってきて派手に動くわけでないが…。wink

ラストで、陳氏は語る。

「中国は大きい国だ。大きい国は大きい国らしく小さいことにこだわらず大きな儲けを狙っていく。」

これが、巨大社会主義国家・中国流の資本の論理の真髄かも?
ううむ…では、小さい日本は、小さい点に着目して、小さい儲けをコツコツと積み重ねていくのが、身の丈に合っているということなのかも。delicious

« 「ゆりかもめ」の車窓から。 | トップページ | MADAM XENLON ARIAKE »

ハゲタカ」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんばんは♪
思わず反応しちゃいました。
それにしても、美冬さんのまとめ、お見事ですね。簡潔で分かりやすいし素晴らしいです。shine
昨夜、ベッドでなんとなくこの番組を見つけてしまい結局最後まで見入ってしまいました。

やはり、映画ハゲタカを思わざるを得ないですよね。この取材結果も映画作りに生かされているんだろうな~とか、これだけハゲタカに夢中になっているから、こんなテーマのドキュメンタリーでも興味深々でついていけるんだわ~。などと、ハゲタカ脳で最後まで楽しみました。

でも、Mr.Hui短気黒字化はお見事ですがその陰で何か起こっていて、長い目で見てそれが何を引き起こすのか・・・とアメリカ式の株価つり上げありきの手法に疑問を持つ小市民nanakoなのでした。

nanakoさん

いつもお越しいただき、ありがとうございます。

>>昨夜、ベッドでなんとなくこの番組を見つけてしまい結局最後まで見入ってしまい

あら~夜更かしは美容の大敵ですわよ。
私は13日に一度観たものの、ブログに雑感を書きかけて記憶があいまいな箇所が多くて、結局、確認のためとか言って同じく深夜の再放送も観てしまいました。(笑)

Mr. Huiが短期間で黒字転換を実現した裏では、相当に強引な事が行われていただろうことは想像に難くないですね。
彼は元々の意味でのハゲタカなんだろうか?それにしても強欲すぎるぞ…と思いながら見ていました。
憎たらしいほどの手腕に鷲津を想起してしまいましたが、鷲津のように企業再生を考えているわけではないようですし。
…って、どーしてもハゲタカ脳で考えてしまう(笑)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/114892/47025278

この記事へのトラックバック一覧です: 謎のMr.Hui~NHKスペシャル「チャイナ・パワー 第3回」:

« 「ゆりかもめ」の車窓から。 | トップページ | MADAM XENLON ARIAKE »

フォト

超お手軽ゲーム

最近のトラックバック

無料ブログはココログ