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2010-02-08

まっすぐな男たち~『龍馬伝』第6回「松蔭はどこだ?」

龍馬が吉田松陰と衝撃の出会いをして己の心を見つめたり、弥太郎が悪魔転じて女神(本当?)の加尾の力添えで江戸遊学が叶ったり、と明るい兆しがある一方、半平太さんは、とうとうやっちまいましたよ!

黒半平太の話は長くなりそうなので、最後に。
今回は、真っ直ぐに突き進む男たちのお話だったと思う。


まずは、真っ直ぐな男・その1の吉田松陰先生と、まだフラフラしちゅう男・龍馬。
千葉道場を追い出されても、そのことを広之丞には言える筈もなく、リストラされたサラリーマンみたいに時間をつぶす龍馬。
ちょっと「夕焼け小焼け」が流れてきそうな場面だった。
せっかく佐那さんが道場に戻るように言ってくれても、自分に嘘をつけない人なので、戻るとは言えず。
相変わらず「どうしたらいいのか?」と悶々として、桂さんちにお悩み相談へ。
黒船を一緒に見て学問にも明るい桂小五郎なら、なにかヒントをくれると思っているのか、妙になついている。(笑)
もはやギャグみたいになってきた桂さんのやつれっぷり…。(笑)

で、強引に松陰捜索に加わり、ついに衝撃の出会い。
生瀬さんの吉田松陰先生、どんな感じになるだろうか…と楽しみにしていたのだが、予想を超えてきた。さすがですよ。
熱い、熱すぎる!
その激しさと熱さは、狂気と紙一重にすら映るほどだった。

生瀬松陰、凄かったですよ。
この人も、真っ直ぐで自分に嘘なんかつけない。
自らの使命を見つけた松陰は、己の内なる声に耳を傾け、それに従うのみ。
全てを捨てて自分の道を行く覚悟は、とうに出来ているのだ。
「覚悟」の出来ている肝の据わった人間ほど強くて魅力的な者はない。
凄い気迫。
弟子の桂さんですら、呑まれちゃってましたね。


迷いながらの自分探しの旅の真っ最中の、腰が定まらない龍馬が、連れて行って欲しいなんて言ってしまうのも分らないでもないが、坂本くんには、本当の「覚悟」は未だない。
だから、松陰先生に心身ともバッコーンpunchと吹っ飛ばされてしまう。

shine今週の名言その1
「君は何者じゃ?何のためにこの天の下におる?」 (by 吉田松陰)

龍馬にガツンと響いたこの言葉、今回のテーマでもあったと思う。
そうなのだ。
龍馬も弥太郎も半平太も、この先、この問いを自らに突きつけて、それぞれの道を行くことになるだろう、と予感した。
弥太郎も半平太も、松陰先生の言葉は聞いていないけれど、二人はたぶん、自分で気づけると思う。

shine今週の名言その2
「僕には言い訳なんて無い。」 (by 吉田松陰)


覚悟のある者には、言い訳なんか無い。
わかるけど、哀しいなあ。
なんだか、『新撰組!』の山南さん切腹の前のことなどを思い出してしまった。
しかし、まっすぐな男は不器用だよ…。

松陰先生の重いお言葉がきっかけで、龍馬は自分が剣術修行をする真の意味に気づくことになる。
龍馬は他者の意見を素直に聞く人だ。
誰に対しても分け隔てなく、いつも胸襟を開いていく。
だから、松陰先生の言葉が、あれだけ響いたのだし、龍馬のそういう資質を見抜いていた千葉定吉先生は、彼が自分で気づくのを辛抱強く待っていたんだろう。
定吉先生は、前回、「お前は何のためにここにいる?」と龍馬に尋ねた。
この問いも、松陰先生の問いと同じ意味だったのだね。
道場で龍馬を迎え入れる千葉定吉先生、さすがの風格。
龍馬と一緒に竹刀を振る佐那さんの顔がイキイキと輝いていてとっても綺麗だった。
だけど、あっという間に春が来て、龍馬が江戸を発つ日。
すっかり恋する乙女な佐那さんと指きりしたりして…無邪気な龍馬の笑顔は本当に罪だ。
土佐に帰ったら、かおちゃんも待ってるし…。
なーんか、無自覚な女たらし?(笑)


真っ直ぐな男その2・弥太郎は、愛弟子(文字通りだ)の加尾ちゃんのお陰で、ついに夜明けか近い?
この人は、松陰先生の言葉をずっと以前から実践していると思う。
他人に迷惑をかけたり、謙虚さゼロだが、これくらいのエネルギーがないと、貧困や身分の逆境から這い上がれないのだろう。
それに、なんとなく憎めないのは、やはり彼が真っ直ぐで生命力あふれる人だから。
でも、言い訳はしそうだ。(笑)
さて、とうとう幸運の女神に土下座しての求婚。
ダメそうだ思いつつ、「頑張れ!」と応援してしまったが、結果は次週のお楽しみ。
いつのまにか応援してしまう香川弥太郎の引力、恐るべし。

さあ、いよいよ、真っ直ぐな男その3です。
黒半平太、見参!
“king of 天誅”への道の第一歩を踏み出してしまった。
自称・黒半平太推進委員の私としては、この日を待っていたのであるが、なんだかちっとも嬉しくない。

弥太郎に吉田東洋に呼ばれていることを自慢げに語ったりして、あの高潔な武士の鑑はどこに行ってしまったのか?と思うくらいイヤな感じだったし、黒半平太の匂いはするけど…ちょっと小さい男になってないか?
そう、黒い半平太は狭量なんかじゃないの。
だって尊王攘夷のカリスマとして、土佐の下士たちのみならず、他藩の志士たちをも魅了しちゃうんだから。(鼻息荒い)
まだまだ大輪の黒い花が開くまでは時間がかかるようだ。



吉田東洋vs武市半平太、固唾を呑んで見守った。
そう、対面というより対決ね。
東洋は、半平太の考え方は古いところがあるけれど、たいそう優秀で藩主への忠義心も人一倍強いことを彼の意見書を読んで感じ取り、実際に会ってみて自分の期待通りの人物であれば、身分にこだわる殿様を説得して半平太を重要な役職に引き上げ、自分の懐刀としようと考えていたのではないか。
つまり、東洋によるオーディションだったわけ。(違う?)
東洋は、大きく動いていくこれからの時代、身分に拘らず実力主義で人材登用して、土佐を護ろうとと考えていたはずだ。
面会する前に、半平太の評判も聞いていただろうから、かなり期待していただろうに、半平太の反応があれでは、相当に落胆しただろう。
藩の行く末を担う有望な若者かもしれないと期待していただけに、哀しくも寂しくもあったろう。

一方、この場面での半平太は、了見の狭い、頭の固い古い男に見えてしまうが、それは情報が豊富で多様な価値観があることを認められる状況にある現代の私たちからは、そう見えてしまうということ。
この時代、倒幕派であろうと佐幕派であろうと、攘夷の考えが主流であり、開国派はごく少数の、海外情報を知っていてる先見の明がある知識人か、相当にブッ飛んでいる人くらいだったわけだし。
『ハゲタカ』ではグローバルな視野を持つリアリスト・鷲津を演じていた南朋さんが、『龍馬伝』では、優秀で忠義心篤いが時代錯誤な半平太を演じる。
俳優さんの仕事って本当にダイナミックだ。
東洋と半平太の対立は、現実路線と主義思想の対決みたいなものだから、そりゃあ相容れないに決まっている。

立派な侍となり、藩主のために働きたい、より良い国づくりに貢献したいという真摯な思いが、半平太の芯となっている。
土佐の地と民を思う気持ちは、誰よりも強かったはずだ。
だが、哀しいことに、広く外事を知り、現状を認識することが出来なかった。
単一の価値観や一つの枠の中に留まっていては、動乱と変革の時代に生き残り、自分の理想を実現していくことはできない。
南朋さんがインタビューで語っていらしゃるように、どんどん時代とズレといってしまうのだ。
半平太がどれほど誠実で優秀で人望があっても、悲劇的な末路に向かうことになるのは、結局、彼は刷り込まれた旧来の知識や思想、土佐藩や侍という枠から自由に飛び出せなかったがらなのだ。
それが出来た龍馬も志を断たれてしまったし、彼ら以外にも私利私欲など皆無で、ただ国の将来を真剣に考えていた多くの若者たちが無残に命を落としていくことになるので、幕末の物語は、本当に読んでも観ていても辛い。
っと…話が前のめりになりすぎましたな…。

しかし、東洋も、あんな言い方しなくても…と、ちょっと恨みがましく思ったりもした。(婆様的視点/笑)
まあ、こんなんじゃ何をどう言ったって無駄じゃ!と思ってしまったのだろうが、もうちょっと言葉を選んでくれればねえ。
東洋さんも、不器用な人なのだ。
半平太が憤怒を押し隠し、自分の意見を認めないのは身分のせいだろう、と言った時は、上士である東洋には、代々積もった下士の悲しみや恨みが半平太にああ言わせていることに、いまひとつピンと来なくて、ますます心が冷えてしまったのかもしれない。

「このような扱いには慣れておりますき。」
憤怒を必死で抑え、食いしばった歯の間から言葉を押し出すような半平太も、一人、暗い道場で全身から負のオーラを立ち上らせて剣を鋭く振る半平太も、それまでの彼か見せなかった顔で、前回の晴れやかな表情から一転して、別人のようだった。

南朋さんの演技の素晴らしさには心を奪われたけれども、それだけに、心に闇が染み出した黒い半平太の姿を目にして、哀しく辛い気持ちになってしまった。
ちょっぴり半平太の婆様の心境にもなっている私は、第1回の、あの子犬のような笑顔が懐かしくもある…。
今後の半平太の苦悩や葛藤を、是非とも丁寧に描いていって欲しい。
真直ぐ過ぎて、自分に嘘をついて如才なく生きられなかった男の悲劇を、辛くてもしっかりと見届けたいから。


次回は、なんと全回通して唯一の、龍馬・半平太・弥太郎の3ショットがあるそうだ。
そして、リリー・フランキーさんが登場。
ゆるーい『おでんくん』テイストなのか、違うのか。
楽しみだ。
番組公式HPの『香川照之の引力』コーナーを読むと、かなり期待できる回のよう。
あら、毎週、楽しみになってきちっゃたわ。

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