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2010-03-29

さらば東洋~『龍馬伝』第13回「さらば土佐よ」

前回ラストでは、自分が武市半平太みたいに脚本家センセイからキックを浴びたような心境になってしまい、やさぐれて、土佐勤王党に入って暴れてやろうかと(不良少年の集団じゃないっての)思った私であった。

そんな荒れた私の心にひと時の平和を取り戻してくださったのは、チーフディレクター大友さんでしたよ!
やっぱり、いいですねえ、大友さん担当の回は。
開始当初の力みもとれて、すっかり大河に馴染んだ感じだし(何様だ)、弥太郎パート以外は(笑)、静かにひたひたと情感が溢れるようで、観る側が登場人物の心情に寄り添える演出だったと思う。
そうなのよ。
怒鳴ったり泣き喚いたりは、ここぞ、という時だけでいいの。

第2部の予告も(勝海舟のキャスティング以外は←どうしても納得できない)、なかなか期待できそう。
武市半平太が、すっかりクール&クレバーな黒いカリスマの雰囲気を纏っているように見えたので、黒半平太推進委員としては期待したいんだけど…夢見すぎ?(笑)

これからは、半平太が、両手を血に染めながら、常に死を背後に負った覚悟を静かに漂わせているように描いてくれると、私としてはツボだけど…。
あんまり期待すると、あとでまた辛いからねえ。ほどほどに期待ってことで。

これで、4月からの日曜夜は、阿部ちゃんの『新参者』だけが楽しみ、という寂しい事態にはならないと思いたい。
マイナス思考にならずに、楽しく見守っていけるように、オトナな気持ちでいたいと思っているが、どうだろうか。

では、感想風なものを。

eye脱藩な気分?
懊悩の挙句、密かに脱藩を決意した龍馬が、家族の後押しを受けて、涙ながらに、会わないまま一人一人に感謝と別れ,の意をこめた「ごめんちゃ…」を呟いて、決死の脱藩を決行するわけだが。(この、ごめんちゃ、という土佐言葉は、本当に良いですね。)
龍馬が脱藩を考えていることを察してしまった坂本一家の苦悩や、事後の兄上の腹をくくった格好良さまでの、このくだりは本当にジーンと来た。
役者さんたちの表情も素晴らしかった。
闊達な坂本家の食卓シーンに、もう龍馬が加わることはないのかと思うと、主人公への愛は極薄なのに坂本ファミリーのシーンが大好な私は、とても寂しく感じる。
しかし、ふと気づいたが、龍馬が現在では亡命に当たる脱藩をする動機が、私はイマイチ理解できていないのだ。
そのへんを固めるエピソードや描写の積み重ねが、なんぞあったか?
と、減退著しい記憶の中をかき回してみたが、それらしいことが何も出てこない。
加尾とは引き裂かれてしまったし、勤王党にも、東洋が誘う城の中にも、自分の居場所は無い。
虐げられ続ける下士の怨嗟の声の高まりは爆発寸前なのに、わしは何もできない。
かといって、武市さんたちの考える挙藩攘夷にも賛同しかねる。
息苦しい。もうイヤだ。
わしの居る場所は、ここではない。
ここではない、どこかにわしの生きる世界いがあるはずじゃ!
いっそ異界に行って王に…ってそれじゃファンタジーですけどね。(笑)
布団の中であーでもないこーでもない、と考えて、「やっぱ、脱藩じゃね?沢村に誘われてるしぃ」なんてことでもないだろうし。
まさか、萩で久坂に見せられた味のある(笑)脱藩の二文字に宿っていた霊力thunderに突き動かされて、なんてことはあるまい。

そんなふうにふざけた脳内補完をしなきゃならないほど、龍馬の脱藩理由が不明確だ。
権平さんも言っていたように、脱藩は大罪。生ぬるい考えでするものではない。
だから、いちおう重苦しい感じで悩んでいる雰囲気を作ってはいるものの、脱藩に限らず、この龍馬の行動・言動すべての動機付けが薄いように見えてしまうのは、私の心が汚れているからだろうか。
いろいろとツッコみたいけれど、とりあえず、今後に期待、ということで、今日のところは、このへんにしておこう。(誰?)


eye第1部MVPは吉田東洋様だ!

とにかく、振り返ると吉田東洋が、全部もっていったのではないか(笑)と思うくらい、田中泯さんの東洋は凄まじいエネルギーを放出していて素晴らしかった。
大河ドラマ史に残るキャラクターだろう。
田中泯さんという、稀有な表現者を大河ドラマで感じることができたことは、私にとって幸福な体験だった。
かなり濃いから、腹に力を入れて迎えないと倒れそうだったけれどね。
いつも夕飯を食べながら観ているのだが、東洋様のシーンは、自然と箸を置いて姿勢を正して観てましたよ。いや、ホントに。
半平太が放った刺客との、大友さん演出ならではの土砂降りの雨の中での大立ち回りも、断末魔の表情も、鮮烈だった。
次回から、あの怪演を目に出来ないとなると、物足りなく感じてしまいそうだ。
代わりに、近藤容堂が濃厚に再登場…ってわけね。

しかし、龍馬と対面した時に、せっかく東洋の大きさを見せ付けて、その東洋の器を越える龍馬…って構図を見せてくれても、先週(違)、無能な下士(怒)を罵らせ、不必要な暴力をふるわせて東洋を貶めているから、今更、持ち上げても、「龍馬をこんな認めてるんだから、東洋さま、スゴイわheart01」なんて素直に思えるはずが無い。
ここが、残念な感じがしてしまった。
龍馬だって、いくら東洋が有能で悪い人間じゃないし土佐のことを考えている立派な人だと理解していると表面的には言っていても、自分より弱い人間の尊厳を平気で傷つけるような傲岸な人間だと知ってしまったのだから、「武市を捨ててわしの胸に飛び込んで来い(とは言ってないけど)」と熱く口説かれても、平和主義者で友達思いの龍馬が東洋の配下になろうはずがない。
東洋は、そんなこともわからない人だというのか?
11回までのエピソードで、相手の本質を素早く見極める能力を持っている公平な人物として描かれていたはずなのに…。
いくら「わしゃ天才じゃき!」が名台詞でも、それじゃ片付けられないでしょ。
東洋という、理論的で進歩的な思考回路を持つ人物の整合性がとれない。
せっかく泯さんによって鮮烈に刻まれてきた東洋像が、最期に分裂してしまった気がする。
脚本の残念ポイントのひとつだ。

それに、龍馬も、東洋が武市を足蹴にしたことに対して、もっと抗議の意を示さんかい!
武市さんのことが心配で勤王党に入ったんじゃなかったのかい。
袂を分かつ予感がしていても、敬愛する武市さんが無能とまで言われて、黙ってやり過ごすとは…決死の覚悟で東洋邸に単身乗り込んだはずなのに、そのへん言われっばなしとは、スケールアップしてるらしい(冷たいsweat02)龍馬らしくもない。
なんて、思ってしまうのは、やっぱり私の心が汚れているからだろう。
とにかく、第2部になったとたんに、「東洋が出なくなったらつまらなくなった。」と思うことがない展開であって欲しいと願っている。


eyeこれからが真の武市先生だ。
冒頭のシーンは、悪夢の第12回からの続きだったので、仕方ないが、「龍馬ー!東洋にいぢめられたよーー!」と泣きつく野比半平太に見えてしまい、数百人を束ねる頭領の姿じゃなかった。
結局は攘夷のためでなく、足蹴にされたから「東洋を斬ってくれ!」では、「こ・の・う・ら・み…」と唱える魔●郎だよ。(どっちにしろ藤子作品キャラ?)
でも、第2部では、そういうところはリセットして(えっ)、美しく黒いカリスマとなっていただきたい。
今回の半平太は、それを期待させてくれた。
東洋暗殺を龍馬に依頼した翌日の、憑き物が落ちたように、殺気が削げた静かな表情。
龍馬は、半平太の中に、いよいよ修羅の道を進む揺ぎ無い覚悟が満ちていることを感じ取っている。
そのことを半平太も感じている。
2人の間にしか流れない空気が、互いの思いを伝え合っているようだった。
富を安心させるために、東洋暗殺を望んだのは間違いだった、と口にする半平太。
妻を思いやるいつもの彼らしさが戻っている。
でも、心の奥には己が手と同志の手を血で:汚す暗い覚悟を秘めているのだ。
これが、黒いカリスマの真の誕生の瞬間だ。
前回のアレは悪夢だと思って記憶から抹消しよう。(泣)
その後の半平太と龍馬の別れのシーンでの、過去を、そして未来を見るような半平太の深い思いを湛えた瞳。
そして、強い意思を語る背中。
久々に大森南朋さんの演技が生きたなぁ…と、じわーっ涙が出そうになりながら嬉しく思った。

そして、東洋暗殺決行の夜。
落ち着いて絵を描いている、元の聡明で穏やかなだんな様の姿に、微笑む富さん。
切ないぜよ…。
正月に丸ビルの『龍馬伝』展で見た、武市半平太が京都から富さんにあてて書いた実物の書簡を思い出した。
きちんと揃った几帳面そうな美しい字で、時間をかけて丁寧に書き綴ったことが見て取れた。
半平太の人格と教養をしのばせる字であり、彼の妻への深い愛情も想像できた。
そんなことを、思い出した。
こんなふうに、登場人物の心情に自然と寄り添えるのは、さすがに大友さんの演出。
ぐっと掴んでくる。

奥貫さんは、半平太といい、住本といい、大変なものを背負ってしまう人の妻役が続いている。
本当に、こういうふうに、そっと心情を滲ませる表現がうまい。
素敵な女優さんだ。

そんなわけで、第二部での武市先生の暗躍に期待したい。
今はとりあえず不満分子の集まりみたいにしか見えない土佐勤王党の描かれ方も、もっときちんとしてくれるよう望んでもいる。
結党から第13話までは、随分とぞんざいな描きかただったから、東洋暗殺の実行犯3人が、「あら、こんな子いたかしら?」状態だ。
武市先生が特に剣の腕と口の堅さを見込んで呼んだ精鋭3名のはずなのに、その他大勢みたいな扱いでは、どうもねえ。
ここまでで、彼らが市先生と攘夷のためなら妹を人身御供にするくらい(ん?)の覚悟のある人物で武市の信望も篤いということを見せていてくれたら、もう少し入り込めたと思うのだが。
ここも残念ポイント。

いろいろ愚痴っぽくなってしまった所もあるが、孫・半平太への婆の愛情ゆえ。
4月からも、期待してますよ。

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