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2010-05-25

『龍馬伝』第21回「故郷の友よ」~ストレートど真ん中

雑な視聴者なので、いつも1回視聴の荒っぽい記憶に基づく雑感しか書いていないのだが、今回はいつにも増して、ざっくりです。
時間が足りないのが第一の理由なのだが、武市半平太と富の朝餉のシーンを思い出すだけでウルウルしてしまい、とてもキーボードに向かえないから、という恥ずかしい理由が隠れているのだ。sweat02


前回、大友さん演出なのに何故かスッキリしなかったので、誰が演出担当なのかを前提にして観るのは極力しないように、ニュートラルに観よう…と心に決めていた。
とはいえ、担当が、私の中ではドSなDという決め付けをしてしまっている渡辺さんであることは既知だったので、冷静に観られるかどうか不安ではあったが…。
更に、NHKが「泣ける!」と感動の保証(笑)まで押し売りしてくれていた回だったので、余計にクールになるべし、と心を引き締めて観たのであった。

で、実際に見終わっての感想は、「あら、良かったじゃない!?」というものであった。
いやー、渡辺さん、今回はSを我慢してくださってありがとうございました。(笑)

いくつか疑問点や物足りない点はあったが、ま、置いといて。
最大の見せ場である武市夫妻の朝餉のシーンを初めとして、観る側の感情を揺さぶる要素を含むシーンが幾つもあったため、セリフも演出もどストレートだったところが、かえって素直に良かったと感じられたのだろう。
まずハードルを下げて観ていた、という点も良かったのかもしれない。
それから、前日に『トリック』2本立て、という荒業をしてアクが強すぎる堤監督シャワーを浴びた後だったので、スッキリした『龍馬伝』第21回が染みたのかも。(笑)

特に、武市夫妻の朝餉のシーンは、凝ったことをしないで、役者さんの表情と居室での引きの絵だけで静かに表現するという直球さが、夫妻それぞれの覚悟と互いへの慈しみとに集中できて、ズンと伝わってきてしまい、もう涙がどんどん流れてしまった。
このシーンの素晴らしさは、大森さんと奥貫さんという、こういデリケートな場面を演じたらピカイチのお二人の名演に尽きる。
つまり、演出がオレ流を我慢して、役者に委ねた、ってことではないのかと勝手に思っている。
あの静かな夫婦ふたりの語らいの朝餉の場面に、増幅や装飾は余計なだけだものね。

半平太が自分の捕縛の時を察知して、富に自分は愚直に生きることしか出来ないのだ、と吐露して、弱さをさらけ出す。
今まで夫の凛々しさも弱さも、高揚も屈辱に伏す姿も、そっと見守ってきた富は、静かに受け止める。
夫妻のシーンは、今までそう多くなかっけれど、ここだけで、これまでの夫妻の思いや強い絆がちゃんと伝わったのも、お二人の演技があればこそだ。
2人の会話は、文字にすると気恥ずかしいくらいに直球なのだが、それゆえに、お2人の素晴らしい表現が、台詞に深いものを含ませて、文字を大きく超えたのだと思う。

「夏が終わる前に桂浜へ行こう。海がきらきらして美しいろう。」
と半平太が富に優しく言ったときには、もう、目頭が熱~くなっちょった。
やば…もう、涙が流れ出てしまう…。
隣の夫にバレないようにタオルを目の下にあてがったものの、たぶんバレていたに違いない…。
そして、「冬にになったら、そうじゃのう…。」
「どこにも行かんと、ここで2人で過ごしたいがです。」
で、もう、涙、涙、涙…。
うえーん、こうして文章に起こしているだけて、ウルウルする…。
訪れないであろう2人の幸せな未来の絵を描く半平太の言葉に耳を傾け、涙を堪え薄く微笑む富。
痛ましいけれど愛情に満ちた2人の姿。
捕縛に来た役人が荒々しく声を掛けると、半平太は端然と座したまま、静かに「妻と朝餉をしていましたたき。」と答える。
……うわ、もう嗚咽を隠せない!
何も変わったことなど無いかのように、静かに立ち上がる半平太。
「富、ちっくと出かけて来るき。」
「はい」と、いつもどおりに夫の身支度を整え見送る富。
そして、「行ってらっしゃいませ。」と三つ指をついて送り出す。
武市半平太夫妻の愛と覚悟が滲んだ、美しい別れのシーンでした。
おや、隣の夫もさりげなくティシューで鼻をかんでいる…。
そして、「武市さんも奥さんも、素敵たね。」と呟いてました。
その通り!

と、観ているときは福田大先生とNHKの思う壺だったわけだが、こうして思い出しながら色々と書いていると、私のように鈍感な人間でも、脚本上、今まで武市半平太があんなに葛藤したりブレたりしていたのも、ここからの終焉の盛り上げにつなげるためだったのでは?ということは理解できる。
でも、別に蹴られたり人格分裂したりダメダメ感タップリの小物だったり…までする必要はないと思うのだが。
弟子や信奉者たちの前では、文武両道に優れた立派な侍であり冷徹なリーダーであっても、ある時点までは、非情な判断を下すに当たっては悩むという描写があるのは、人間臭い武市を押し出したかったということであれば、当然だとは思う。
しかし、半平太の描き方に、本当に人間味を出そうという思いいれみたいなものが、あまり感じられず、だた主人公を引き立てるシステムの一部品として必要以上に落とされているように映るところばかり強調されていたのが、残念だ。
とはいえ、武市夫妻の朝餉のシーンは、恐らく『龍馬伝』ベストシーンに、必ずや挙げられる名場面、名演であったことは確かだ。
これのまでのことは、もう文句を言わないようにしたい。(できるかしら…。)

この他に、印象に残った場面をちっくと挙げてみる。

eye 弥太郎がおまけを思いつく場面
なぜ牛と鶏と目が合って、閃いたのか?
何か意味があるのでしょうか。なんだか気になっちゃって。(笑)


eye 龍馬を諭す勝先生
しょっぱなから露出大サービスな龍馬さんだったが、元気そうなのは表面だけで、半平太や以蔵のことが心配でならず、「とうしたらええがじゃ!間違っちゅう!」の嵐。
京の勝を訪ねて思いをぶつけたとき、勝先生が龍馬に武市の覚悟について語るシーンは、グッと来た。
テツヤ氏が苦手な私だが、ここでの勝の熱さや言葉にこめた重みは、氏ならではだったと思う。お見事。
そして、龍馬さんよ、勝や長次郎に言われないと武市の覚悟がわからんのか!
この人は自分で深く思索して何かをつかむ、というよりは他者から教えられて気づくんだな。
だけど、一部と二部の間に凄みのある男になったりしていたはずなのに、またコドモに戻っている気がするぜよ。


eye 半平太と弥太郎
久々のツーショットは、切ない会話だった。
香川さんが半平太の口真似をした時には、良く似ていてビックリ。
本当に何をしても巧い人だ。
弥太郎との邂逅の前、一人佇みお城を見詰める半平太は、なにかつき物が落ちたような静けさと哀しみを湛えていた。
しかし、けっして哀れではなく、毅然としていた。
覚悟が出来た男の顔。
なんというか、余計なものが削げて、彼の深部が現れてきたようだった。
弥太郎もきっと、それを感じ取ったのだろう。
ガラにも無く、「武市さんも好きに生きてみいや!」と揺さぶる。
ここも、観ているときはグッと来ましたよ。
だけど、ふと考えると、この2人に、こういう会話が成立する深い関係があったっけ…?
いやいや、そういうツッコミ目線はいけない。
今は、半平太の最期までを見届けるのみ。


good 新撰組、クールに登場
まるでPVみたいにカッチョ良く、クールに登場しましたよ。
無言で以蔵をジリジリと取り囲む近藤局長率いる新撰組。
ジャーン!という登場でなかったのが、渋くてよい。
御馴染みの浅葱色に白いだんだら模様の羽織でなかったので、あのデザインを採用する直前ということですね。
(武市半平太投獄と、新撰組への改名は同時期だったかな…。)

さて、次回は男前・真木お龍と共に新撰組が本格登場。
はーらーだ近藤局長、どんな感じでしょうか。楽しみです。

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『龍馬伝』黒半平太推進委員会」カテゴリの記事

コメント

こんばんは★

いや~、やっぱりなぜ?って思われたのですね。なんか安心(笑)
前回の大友さんなのに・・・、そして今回の渡辺さんだよね???と、
我々(←何の同盟だぁ?)も、もはや何を拠り所にしていいのか分からなくなってきましたよね。

で、自分の気持ちを信じてちょっこし勇気をもってよかったぜよ、とか書いちゃいましたが美冬さんのご説明でなるほどって(笑)

>つまり、演出がオレ流を我慢して、役者に委ねた、ってことではないのかと勝手に思っている。

そっか~。そうですよね。あのお二人には勝手にのびのびとお芝居させてほしいです。っていうか、今回はよかったです。
なんで、今まであんなことやこんなことをさせていたのでしょう???
ま、その辺は置いておいて素敵半平太に浸りたいと思います。

あと、弥太郎のおまけを思いつくシーン。私もおんなじこと思いました。
当初から、サービスで施工をやってあげればいいのに・・・って思っていたのでそこはすっきりしたのですが、牛さんと会話したのかな???
それとも、牛さん達が労働力に見えたのかしら???

そんなことまで気になる私たち。(←一緒にしてごめんなさい)毎週目が離せませんね。(笑)

>nanakoさん

いらっしゃいませ~
コメントありがとうございます。

>>なんで、今まであんなことやこんなことをさせていたのでしょう???

そうなんですよねえ。
立派なだけでなくて、共感できる人間臭い人物として武市半平太を描こうとしているのだ、と解釈したWさん(今頃イニシャル/笑)が、脚本以上に盛り上げようとしてしまったことが、武市のダメっぷりを強調してしまった(苦笑)のかもしれないな…とも思います。
でも、それをやりすぎると、何百人もの人が彼を敬慕してついて行ったとか、藩や朝廷にまで力を及ぼせた、という面の説得力がなくなってしまうんですよね。
今回の半平太のエピソードは、余計なことをしないほうが、視聴者の心に訴えるということで、渡辺さんもグッと抑えてくださったのではないでしょうか。(えらそう。)
いずれにしろ、今回はどのシーンの半平太も、覚悟を決めた静かで気高い姿が、とても素敵でしたので、満足じゃ。

>>そんなことまで気になる私たち。(←一緒にしてごめんなさい)
>>毎週目が離せませんね。(笑)

同志に加えていただけて、心強いですわ。
半平太カウントダウン、一話ずつ、大切に観ましょうね。

こんばんは。
>武市半平太夫妻の愛と覚悟が滲んだ、美しい別れのシーンでした

はい、ほんとにそうでしたね。富さんもただ静かに運命を受け入れてるところが、よけいに涙を誘いました。武市家のたたずまいは日本画のようで、いつも落ち着いた感じでいいなぁと思います。それと対照的なのが岩崎家ですな(笑)ほんとは、岩崎家はどちらかというと、地主?で金持ちみたいだったそうだけど…

>香川さんが半平太の口真似をした時には、良く似ていてビックリ。

ぷっっ(笑)深刻そうなシーンなのに、なんかおかしかったです。それに、あのシーンだけ異様にほこり(コーンスターチだっけ?)が舞ってたし、なんか意図があるのかな?
でもよく考えるとすごく切ないシーンですよね。半平太が嫁さんをほめて、「はよう子供をつくりや」と言ったのは、弥太郎へのお別れのことばなんですよね、きっと…
「弥太郎、幸せに暮らせよ」って感じかな?
なんか不器用な半平太らしい言葉ですね。
そう思うと脚本も結構いいじゃん…などと、不届きにも思うのであった。

>新撰組、クールに登場

「あれ、これって原田泰造?これってなんだっけ?あーっ!新撰組かぁ!」
気づくの、遅っ!(苦笑)
いや、以蔵の立場からみると、恐ろしい刺客にみえちゃうんですね。びっくり!これが勝先生のおっしゃってた「物事は見る方向によって全然違う」(全く愛がないので、セリフうろ覚えです)なのね、うん(一人で納得…笑)

半平太の登場も後すこし。がんばってみよう。

>ぶるーうぉーるさん

ようこそ♪
コメントありがとうございます。

武市夫妻の別れの朝餉は、静かで美しくて、ほろりとさせられました。
半平太を見送る富さんが、ずっと頭を下げたままで、夫の後ろ姿を見なかったところが切なく、かつ、武士の妻らしくて、また泣きました。

>>あのシーンだけ異様にほこり(コーンスターチだっけ?)が舞ってたし、なんか意図があるのかな?

龍馬伝のコーンスターチの消費量の統計をとったら、大変な数字になるのではないかしらん。
日本コーンスターチ普及協会みたいな団体があったら、表彰もんですよ。(笑)

あの2人のシーンは、強い風が吹いている設定でしたので
ホコリも相当だったようですが、風が弥太郎の心境を表していたのかしら?
武市にイヤミばかり言っていた弥太郎が、あの時は本当に心配そうで、このシーンも、泣きそうでした。


>>、「はよう子供をつくりや」と言ったのは、弥太郎へのお別れのことばなんですよね、きっと…


うんうん、そうですね。
収二郎が切腹する時に、「皆、達者でな。」というような台詞を言っていた(愛が無いので記憶があいまい/笑)のを思い出しました。
なんだか、すっかり覚悟が出来てしまっている静かな武市さんですが、史実では、すごい獄中闘争を繰り広げたそうなので、そこを『龍馬伝』では、どう描くのか、描かないのか、やっぱり心配です。

>>脚本も結構いいじゃん…などと、不届きにも思うのであった。

いや、脚本がよいと思えるのは、喜ばしいことですろう。
福田さんは、目標に向かって盛りあげていくテクニックは、さすがに民放でヒット作を連発しただけのことはあると思います。
ただね、キャラや作品そのものへの思い入れや敬愛というものが無さ過ぎるのね。
なので、この時代や登場人物に心を寄せている視聴者にとっては、物足りなかったり不満だったり、という部分が目に付いてしまうのだと思っています。
でも、ドラマの評価が高かったり視聴率が上がれば、大友さんの評価がアップして、ハゲタカ続編につながるかも…と打算的な気持ちもある、そんな私。(笑)


いよいよ、あと1ヶ月くらいですね。(最終回の勢い…苦笑)
大切に観ていきましょうね


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