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2010-06-01

『龍馬伝』第22回「龍という女」~イゾーとタイゾー、そして武市の受難

前回のラストで、「龍馬ぁ~~!」と叫ぶ以蔵を取り囲む超クールな新撰組に釘付け&以蔵が心配!と婆はドキドキしながら「次週を待て!」状態にされ、「うーーむ、ここでブリッジとは、週刊少年ジャンプか?」という感じ(笑)で、ワクワクして待っていた。

期待に違わず、今回は大友チーフDご担当だけあって、映像が極めて美しく、見せ場山場の連続で、緊迫感もあったし、消化不良感もなく、とても面白く観られた。

これだけ全体のレベルが高いがゆえに、私の悲しいツッコミ体質のせいなのか、ところどころで、脚本のご都合主義というか、ラクしすぎ主義(?)が目に付いてしようがなかったぜよ。
演出と役者さんたちの演技で、説明セリフ多用や、やたらと“運命の出会い”だらけな強引さを救ったとも言えるかも。

全体の出来栄えや見栄えは、本当に良かったと思う。
美術、照明、人物デザイン、BGMやSE…の全てのクオリティの高さを最大限に生かして纏め上げる大友さんの手腕、さすがです。
上述したような、脚本の細部での粗さも、第20回のようなモヤモヤ感までは至らず、小姑(私)の小さな文句くらいのレベル。

だからドラマの要である脚本に、もっともっと工夫があってくれれば、もっともっと良いドラマになるのになあ…と思ってしまう。

たとえば。
龍馬が以蔵を必死に探すシーン。
龍馬の仲間を大切にする気持ちは、福山さんの熱演でよーく伝わってきた。
ここに限らず、この回は、叫んでいる人が多かったのだが、それでもうるさいとかウンザリしたりしなかった。
無意味な叫びではなかったからだろう。

だが、都の街中で通りすがりの人を誰かれ構わず捕まえて「岡田以蔵を知らないか?」とか、人相書きを見せたりするところは、「このアンポンタン、なにやってる!あんたのせいで以蔵が捕まったらどうすんの!!」とあきれ返ってしまった。
土佐藩や幕府から「WANTED」の以蔵を捜すのに、いくら必死でもあれじゃあマズイっしょ。
攘夷派の浪士を匿うという扇屋のことは、そんな龍馬君を見かねたどこかの攘夷派の浪士が、そっと耳打ちしてくれたのか?
もしかして、ホームレスに身をやつして橋の下に隠れていたという桂小五郎さんが教えてくれたとか?(笑)
とか、こんまいことが気になる意地悪婆さんの私。
龍馬だって、一度は命がけで脱藩した人なんだから、こういう時の密かな情報収集のやり方とか知っていそうな気がrするんだけど…ま、そのあたり気になる人は各自で脳内補完しろということでしょう。
毎度のことだから、もういいか。(溜息)


可哀想なイゾー


なんといっても、以蔵が実に素晴らしかった。
不憫萌えでない人々(私を含む)の涙も誘ったであろう。
本当にキャスティングの勝利だと思う。
既存の粗暴でおバカちゃんな以蔵のイメージを踏襲せず、若くてナイーヴで純真な、小犬のような以蔵が武市の愛(師弟として、父や兄のように、という意味)をひたすらに希い、人斬りになって苦悩する姿を、佐藤健さんが見事に表現してきたから、ここまで観るものをひきつけ、皆が彼のことを本当に心配してしまうのだ。
これをむくつけきオッサンが演じていたら、いくら上手な役者さんだったとしても、成立しない。
新撰組から逃げ、たった一つの拠り所のなつにも頼れず、一人、錯乱状態で逃げ惑う姿は、健くんの体を張った演技と、眼の表情が、とても雄弁で観ているだけで辛かった。

しかし、以蔵が新撰組や捕り方に追われる舞台は、美しく彩られていて、辛く哀しい場面が、同時に、鮮やかで流麗たった。
くすんだ緑の竹林の中に、小さな神社の鳥居と幟の鮮やかな赤。
黒っぽい路地にひしめく町家の軒先を縫うように、ジグザグに干してある染物や、並べてある傘の艶やかな赤や赤紫。
なんだか、夢幻的な舞台のセットのよう。
単純な私は、色や形が美しいというだけで感激して、思考停止気味。
赤系の色がアクセントとして使われていたので、血を暗示しているのだろうか、くらいしか想像できなかった。
私は、暗喩に気づけるほど聡くないので、そのへん適当な推測。
大友さん、間違っていたらすみません。(笑)

映画『ハゲタカ』のコメンタリでもわかるように、大友さんは、本当に色彩にこだわりがある方のようだ。
今回は、特に色彩の美しさの表現に力をいれておられたとお見受けした。
艶やかな傘が散らばり、その前で捕縛される、怯え疲弊しきっている黒ずくめの以蔵、そして捕り方たちも黒ずくめ。
色のコントラストが眼に焼きつくようだった。


有り得なさがカッコイイ新撰組


新撰組の三大スター、近藤勇、土方歳三、沖田総司と、坂本龍馬、岡田以蔵が全員集合して剣を交えるなんて、幕末もののゲームかパチンコみたいじゃないすか。
私のように、豪勢な大盤振る舞いに喜んでいる方もおられるだろうが、大河ドラマにも史実への完璧な忠実さを求める方々は怒り心頭かも。
大河は娯楽時代劇なんだから、あまり窮屈なことは言わず、ストーリーに無理がなく面白くて意味もある創作だったら、楽しむべし!という私のような輩は成敗されるかも。(笑)

私は新撰組ファンではないが、新撰組マニアが友人に多く、また、大河ドラマ『新撰組!』を全話観ていたので、ちょっこし、新撰組に肩入れしちゃうのである。
近藤、土方、沖田が市中視回りで一緒に、しかも自隊の配下も同行させずにいるというのは、どう考えてもありえないのだが、そんなこと関係ない。
だって、格好いいもん。
先週、無言で無表情に、威圧感たっぷりに以蔵を追い込んでいた新撰組は、衣裳がとてもスタイリッシュだし、文句なく格好良い登場だったと思う。
なつの部屋に逃げ込んだ以蔵が語っていたとおり、恐ろしく強くて、得体の知れない不気味さを放出していて、壬生狼そのものだった。
冷徹に任務を遂行するオフィシャル人斬り集団として、ひたすら格好良く新撰組を描いているのが、成功していると思う。
多数の人を斬ってきた以蔵も震え上がる新撰組。
徹底的にクールなプロの戦闘集団として人間味を消して描くために、極力、固有名詞を出さず、セリフも最小限、というところが、また渋くてイカすぜ。

そんなふうに、クールにかつ恐ろしく描かれた前回の新撰組に満足していた元・調布市民(3年だけ)の私は、調布が生んだスター・近藤勇に、それなりに思い入れがある。
なので、原田さんが喋った途端にクールさが台無しになったらどうしよう?という失礼なことを心配していた。
まあ、結果はそう悪くはなかったが、殺陣では、正直、龍馬に気圧されている感じだったような。
天然理心流の四代目宗家にしては、ちょっと残念な感じもしたけど、ま、『龍馬伝』ですからね。主役に花を持たせないとね。
原田さん、頑張ってましたし。(上から目線)

それから、近藤の去り際のセリフが、最初、良く聞こえなくて「おまえは……だ!」としか聞き取れなかった。
隣の夫に尋ねたら、「おまえが好きだっheart01」と聞こえたという。
えっっ、近藤局長、イケメン龍馬に一目ぼれっスか?
まあ、新撰組には、そっちの噂も色々と…ってヲイ!
で、全部観終わったところで、そこだけ再生して聴いてみた。
「おまえは次だ!」らしい。
うーーん、ここといい、土方と沖田に「行け!」と指示を出したときといい、叫ぶよりも低い声で渋く言ったほうが、クールでよかったかな。
あくまでも、私の願望ですけど。

人間味を消してあるところが格好いい『龍馬伝』の新撰組だが、 近藤が龍馬と対峙しているときに、ついつい新撰組のバックグラウンドを思い、龍馬を飛び越えて、半平太の勤皇党と似ているところも沢山ある集団なんだよね…と余計なことを考えてしまった。
そのへんの思いは、長くなるのと番組の感想から外れるので、いずれまた、独立した記事にするかもしれない。

とにかく、『龍馬伝』の新撰組には、そういう感傷は一切、無用。
どこまでも、冷徹に格好良く、そして恐ろしく、強くあれ。

なのに、私ときたら、以蔵が、なつに
「あいつら、誰ぜよ!?」と言ったとき、
ついつい
「♪は~ら~だ、たいぞうです!」
と口ずさんでしまった。
…ごめんちゃ、以蔵。
ごめんちゃ、近藤局長。


極太だよ!お龍さん

いよいよ、本命ヒロイン・お龍さんの登場。
真木よう子さんのお龍さん……なんというか……太い
いや、もちろん体型の話ではなく、声と存在感が、である。
龍馬より凄みがあって男前ですよ。いいねえ。
この太かオナゴ(なぜ薩摩弁?)が、どうやって龍馬と恋に落ちるのか?
龍馬とお龍の馴れ初めエピソードでは、坂本家から送金された5両を、龍馬がお龍に妹を取り返すために使え、と渡すところは、なるほど、うまく回してあったけれど、やっぱり強引だなあ。
なんか水戸黄門みたいな…。違うか。
龍馬が、自分は実家から援助を受けられて、勝塾の仲間が居て、と恵まれているのに、武市や以蔵のことを心配するたけで、何もできないもどかしさや忸怩たる思をこめた5両が恋のアイテムってのも、うまいこと回しているな…とは思うけど、ちょっこし、何だか釈然としない気もする。
ま、恋愛パートはあまり興味ないから、別にいいんですけど。
だったら文句言うな? 
すみませんねえ…ツッコミ体質なのて許してつかぁさい。
でも、ラストの「以蔵…以蔵…」で食事も喉を通らない龍馬には、珍しく(!)いらっとせず、かわいそうになりましたよ。
まさか、お龍さんは、これで完全に惚れちゃった…なんて、脚本がまたラクしすぎな展開はないだろうね。
あ、それに、以蔵が捕縛された責任の一端は、やっぱり騒ぎすぎた龍馬にもあると思うぜよ。(ぼそり)



武市半平太の受難

美しく荘厳なオープニングの映像と音楽。
録画してあったものを再生しているはずなのに、リモコンのボタンを押し間違えて、ハイビジョンで放映中の別番組が画面に映っているのかと、一瞬勘違いしてしまった。
ドラマ『ハゲタカ』で、キリスト教を想起させるモチーフがいくつもあったのを、思い出してしまう。
私が、そんな思いを沸き立たせているところへ、入牢する髭面の半平太の静かな表情。
信念を貫き、侍の誇りを汚さぬ決意を秘めた瞳。
BGMと大森半平太の表情が、武市の明鏡止水の如く揺ぎ無い精神を感じさせる。

さて、武市を投獄してホクホクしているのかと思った大殿様だが、どこか憂いを帯びている。
藩祖・山内一豊の失策に始まる土佐の特異な身分制度が、長年に渡って育ててしまった巨大な歪みのパワーを背負う勤皇党と武市を、容堂は畏れているのかもしれない。
下士が憎い、ということは下士が怖い、ということではないのか。
だから、徹底的に弾圧するのではないか。
だが、どれだけ叩いても、下士の力を抑えきれなくなっていること、そして自身が加担しようとしている新たな時代への前進が加速するほど、この身分制度の枠が崩壊する日が近づくことも、明敏な容堂は知っている。
その時のことを考えて、容堂は遠いような空ろなような目をしていたのかもしれない。
なんだか、そんなふうに深読みさせられてしまう、近藤容堂の空虚で哀しげな瞳の表情が、素晴らしかった。
そういえば、(観ていなかったけど)大河ドラマ『功名が辻』で山内一豊を演じた上川隆也さんが、『龍馬伝』では、龍馬と共に暗殺される武市道場門下生で土佐勤皇党員・中岡慎太郎を演じる。
(登場は9月からだそうです。)
不思議な縁なのか、意図的なキャスティングなのか?


どんどんアブナイ人になっている(?)後藤さまに、武市は、「上士は拷問できない決まりだから」という、残酷な宣告を受け、代わりに、弟子が目の前で残忍に拷問される様子を見せ付けられる。
怖いよ…後藤さんをこんなキャラにして大丈夫か?
もしかして、この先、龍馬と近しくなり、土佐藩とのパイプ役になるという史実は無視しちゃうのか?
そのあたり、気になる。

強烈な精神的苦痛に耐え、自分は間違っていない、主のために働いているだけ、という信念を貫けるのか…と自分の最深部と向き合う半平太の壮絶な姿を見ていて、私の心に浮かんだ言葉は“受難”だった。
やはり、オープニングの映像と音楽が効いているらしい。(苦笑)
大友さんの思うツボな単純な私である。

最後に。
実際の半平太は切腹までの間、カリスマ性と有能さを発揮して、ものすごい獄中闘争を繰り広げたそうだが…やっぱり、そのへんは無視されちゃうかしら。
だとしたら、どういう展開にするのたろうか。
でも、「龍馬…わしが間違っちょった…」とか言わせたら、絶対に許さんぞ。(何様)
そして、以蔵との関係も、史実とは違うものになっているので、この先どうまとめていくのか、脚本家先生の手腕が楽しみだ。

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