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2010-09-27

アントワープ王立美術館コレクション展@東京オペラシティアートギャラリー

少し前に出かけたものの、集中できる時間が足りず、感想を書けないままでいたのだが、他のネタがたまってしまったので、記憶が消えないうちにざっくりと感想をアップしておく。




アントワープ王立美術館コレクション展
アンソールからマグリットへ
ベルギー近代美術の殿堂

東京オペラシティ アートギャラリー
7/28~10/3
http://www.operacity.jp/ag/exh120/

ベルギーの芸術に強い関心があるわけでなく、ベルギーの画家で名をすぐに上げられるのはポール・デルヴォーとルネ・マグリットくらいだ。
クノップフやアンソールは名前は知っていても、代表作を挙げられないくらいなので、知らないも同然だし。(とほほ…)
ベルギーのことも、良く知らない。
恥ずかしながら、ベルギーと言えば、ビール、チョコレート、フランダースの犬…が、まず思い浮かぶようなレベルなのだ。
そんな私が何故に、この展覧会に足を運んだかというと、一つは、このポスターが原因。

Belg01_2

マグリットの『9月16日』という作品を使っているポスター。
大きな木の前に三日月が飛び出しているように描かれている。
静謐で緊張感のある画面が、少し不気味なようで、でも、とても魅力的で、この絵だけでも観たいと思っていた。

すると、先日、夫から、行ったことのない美術館に行こうという、良く分からない(笑)提案があった。
ちょうど、こちらの会場には行ったことがなかったので、渡りに船、とばかりに出かけたのだった。


東京オペラシティのアートギャラリーというと、(自分が行くのは初めてだが)現代美術や建築関係の展覧会が多かったような記憶があり、、どういう会場なのか、という点も興味があった。
吹き抜けになっている受付やロビーはモダンで明るい感じで、オシャレな会社の受付みたい。(雑なイメージ/笑)
で、会場の設えは、ごくオーソドックスというか、シンプル。
ちょっと殺風景に感じてしまったのは、庭園美術館みたいな会場自体に個性があるところに行った記憶がまだ鮮明に残っているからだろう。


いくつか、特に印象に残っている作品をあげてみる。

Belg02

ジャン・パティスト・デ・グレーフ
「公園にいるストロープ嬢」  1884-86年



前述のように、私はベルギー美術のことを殆ど知らないので、マルグリットやデルヴォーから連想する、象徴的・幻想的な作品が多いのかと勝手に思っていた。
しかし、展示の冒頭は【アカデミズム、外光主義、印象主義】となっており、外光を反映した風景画やスーラに影響された点描技法を駆使した作品を多数、観ることが出来た。
その中の一つ。
結構、大きい作品だったせいもあるが、静かな画面なのに、しばらく目が離せなかった。
明るい陽光と緑の中に立つ愛らしい少女、まばゆいような白い衣装、そしてなにより、こちらに向けられた強い視線のせいだろう。
それにしても、この白いドレス、すご~く可愛い。
自分が幼い頃には、母の趣味で渋い(笑)服装ばかりさせられていたので、フリルとかリボンとかパステルカラーとかと無縁の子供~青春時代だったので、今頃になって、こういう服装に少しだけ憧れてしまうのだ。
決して、こういう服装が好みではないのだが、フリルやリボンが似合う年頃に着ておきたかったとは思うのである。
あっ、絵の感想からズレましたね(笑)



Belg03

ヴァレリウス・デ・サデレール
「フランドルの雪景色」 1928年


画題から、フランドルを代表する画家、ピーテル・ブリューゲルを思い出した。
そこで、帰宅してから、ブリューゲルの『雪中の狩人』や『雪景色』と見比べてみた。
この作品は、見下ろしている視点のブリューゲルの雪景色の作品と比べて、視点がぐっと低い位置にあって空が画面の半分以上占めており、重たげな空や森と白い雪面が引き立てあっているのが特徴だろうか。
そして、ブリューゲル作品との大きな違いは、無人だという点。
村人達の生活の営みを精密に生き生きと描いているブリューゲル作品に感じるような、風に乗って賑やかな声や様々な音が聞こえるような雰囲気は無い。
静かだ。
寒さを感じてしまうくらい、静かだ。
これもまた、フランドルの冬の一場面なのだ。




最後の【「シュルレアリズム】の展示で、お目当てのマグリットをじっくりと堪能して、もう一人のお目当てのデルヴォー。

実は、マグリットのポスターに惹かれただけでなく、ポール・デルヴォーに、ちょっと思い出があって、この展覧会に興味を持ったのだ。
ずいぶんと昔のことだが、人に誘われて出かけた美術展にデルヴォー作品が多数出展されていた。
当時の私は、ポール・デルヴォーのことなど何も知らず、彼の美しいけれど静かに不安を焚きつけるような世界をすぐには好きになれなかったけれど、不思議と強く惹きつけられた。
それから、デルヴォーの作品を見る機会が無いまま時間が過ぎた。

私の記憶違いでなければ、たぶん、あの時以来のデルヴォーとの再会。
デルヴォーの作品数こそ少なかったが、やっぱり、色々と若い頃のことを思い出して感慨深い。

そして、デルヴォーにも、こういう作品があったのかと驚き、なんだか得した気分になった一枚。

Belg04

ポール・デルヴォー
「ウェステンデの海」 製作年不詳   


紙に水彩で描かれている。
なんと優しく柔らかで、清澄な世界だろう。
これと、デルヴォー独特の人形のような美女たちの「バラ色の蝶結び」を一緒に観られただけでも、行った価値があったかも。


出展作品計70点のうち63点が日本初公開ということもあり、何の予備知識もなく観に行った私にとっては、新たな発見や出会いがあって、楽しくて勉強になった展覧会だった。
混雑のストレスもなく、余裕をもって鑑賞できたのも幸いであった。

でも、やはり現代アートのほうが合う会場のような気もしたので、そのような展覧会の時に、またお邪魔してみたい。



鑑賞後のランチ中に、夫が「デルヴォー、初めて二人で会った時以来だよね。」と言っていた。
どうやら、私の記憶違いでもなかったらしい。



 

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