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2010-12-31

映画『チェブラーシカ(2010)』

私に限らず、上目遣いに弱い方は多いと思う。
今、私をメロメロにする上目遣いの達人(?)は鷲津政彦と、この不思議な小さな生き物だ。

Photo_2

彼の名はЧебурашка(チェブラーシカ)。
ロシアからやって来た。

鷲津の上目づかいは素敵に悪いことを企んでいる(えっ?)時の表情だったりするのだが、チェブはもちろん愛くるしい表情としての上目遣いだ。
どこか不安げな上目遣い。
チェブラーシカは、日本でもその愛らしさに人気があるキャラクターで、関連商品も沢山売られているけれど、ただ可愛いだけの存在ではない。
どことなく哀愁があってはかなげで、観ていると胸がキュンと切なくなって、泣きそうになってしまう。
この、どこかメランコリックなところが、チェブラーシカの世界には通底している。
そこが強い魅力なのだ。


チェブラーシカをご存じない方は、よろしければ、こちらの予告映像をご覧下さいませ。






ロシア(旧ソ連時代に誕生)生まれのチェブラーシカの新作が日本で制作されて、今年映画が公開されると知り、ずっと心待ちにしていた。

『チェブラーシカ』 
 映画公式サイト http://www.cheb-kuma.com/index.html

ストーリー
パペットアニメの巨匠ロマン・カチャーノフが生み出したロシアの国民的アニメ「チェブラーシカ」。日本でも大人気の同作品の27年ぶりとなる新作が、ロシアのオリジナル版スタッフの協力を得て、日本を中心に製作された。旧作をリメイクした第1話、サーカスにあこがれる少女マーシャとチェブラーシカの交流を描いた第2話と第3話から構成される。チェブラーシカの声を演じるのは人気子役の大橋のぞみ。
 (映画.com より)

オリジナル1作目の完全リメイク版(ロシア語音声・日本語字幕)を上映しているのは関東では六本木のTOHOシネマズだけなのだが、今は時間がとれず、地元のシネコンで、リメイクのエピソードは短縮版になっている日本語吹き替え版+新作2話のヴァージョンを鑑賞。
なんとか、1月にロシア語版を観にいけるといいけど…。
(2ヴァージョンについての説明は こちら )


私にチェブを紹介してくれたのは夫なので、二人で出かけたのだが、お子様向けの作品なので、劇場で浮くかな?とやや心配だった。
(そういえば、鷲津を私に会わせたのも夫だった。)
しかし、週末朝一番の回に出かけたが、お子様連れに混じって、意外と(?)大人だけの観客も多かった。
やっぱり、大人にも人気だなあ。
上映開始前の予告は、プリキュアとか忍たまとか、お子様向け作品のもの中心で、なかなか新鮮だった。(笑)


同時上映の『くまのがっこう~ジャッキーとケイテイ』は、絵本が原作の作品だそうだが、残念ながら未読。
本物でなくて、ぬいぐるみの小熊ちゃんたちが登場するので、縫い目が入っていたり、転んだりして動きが止まると無生物丸出しな描写になるところが、なかなかシュールで良かった。(どういう視点だ/笑)
色遣いが柔らかく、BGMのピアノ曲が美しく、シンプルで心温まるストーリーで、全体に抑制が効いて心地よい作品だった。
周囲の席の『くまのがっこう』シリーズのファンらしい母子客も、皆さん絵本の世界がそのままだと満足されていたようだった。



さて、お目当てのチェブラーシカ。
いちおう、ネタバレはほとんど無しで書いておきます。


私は、ロシアで作られたオリジナル4話が2008年に日本で劇場公開された時からのファンなので、どちらかというとファンになって日が浅い。
でも、DVDを購入して繰り返し観続けている。
チェブがきっかけで、カチャーノフ監督の他作品『ミトン』等も観て、その温かさと切なさの同居する優しい作風の虜になった。

ロマン・カチャーノフ監督のオリジナルは、優しさと温かさと共に、詩情と寂しさとがある。
ファンタジーと現実が混在する舞台設定や、説明が少なく端的な台詞だけで綴られていることもあって、無垢で無邪気なだけでなく、詩的だったり哲学的だったり、社会的なメッセージが含まれていると感じる面が多々ある。
だから、大人もひきつけられるのだ。

新作部分は、キャラクターも可愛いし、前向きで心温まるお話。
しかし、オリジナルの持つ哲学性は殆ど感じない。
あえて、明るく単純明快にしてある。
現代の日本やロシアの子供たち、そしてもっと幅広い年齢の人々にチェブラーシカの世界の純粋さと愛らしさを分かりやすく楽しんでもらおうという意思が明確に伝わる、とても良心的で良質な作品になっている。
でも、むやみに明るく前向きに、友情や努力や善行を声高に語ってはいないところが良い。
オリジナルの控えめでほんわりした空気は、そのままだ。
そして、あのメランコリックな雰囲気も少し残っていると感じた。
それは、自分が何者か分からず、寄る辺ない無垢なチェブラーシカと、都会で孤独に暮らす心優しいワニのゲーナの二人(二匹?)のキャラ設定をオリジナル設定のままにしてくれているからだ。

もちろん、チェブラーシカの表情としぐさの愛らしさは無敵で、中村監督とロシアのスタッフはチェブを最高に可愛く見せるにはどうすべきか、知り尽くしているなあと思う。
クルクル動く愛くるしい目、チェブの感情に合わせてピンと立ったり垂れたりする大きな耳、パタパタ動く足、ゲーナにギュッとしがみつく小さな手……もう可愛くて可愛くて、身もだえしてしまうくらい。(怪しい)
日本語吹き替えの大橋のぞみちゃんの声も、とーっても可愛くて、チェブにぴったり!
「ぼくと友達になってくれないの?」なんて哀しそうに言われた時は、「友達になるに決まってるよ!うちにおいでよ!?」と叫んでしまいそうだった。

チェブの親友・ゲーナは、オリジナル同様に素敵すぎる!
いつでも温厚で礼儀正しく、誰にでも分け隔てなく優しくて、知的でオシャレな紳士で、音楽の才能があるゲーナは、私の理想の男性像に近い。
ゲーナがワニでなくて、阿部寛さんそっくりな声としゃべり方と容姿の人間だったら、100%惚れる。(鷲津はゲーナみたいに柔和じゃないし、頼りがいがある外見という意味では、堺さんより阿部ちゃんなので。←妄想が過ぎる…)
不安そうなチェブラーシカに対して、ゲーナが「大丈夫だよ、チェブラーシカ。」と優しく頼もしく言う台詞に、毎回グッと来る。


パペットアニメーションの技術や、キャラデザイン、セットや小物の作り込みとセンスも素晴らしい。
スタジオ設備や撮影技術の進歩なのか、オリジナルより全体的に明るい映像になっていた気がする。
少し明るくなっていたところも、新作のムードに合っていたかも。


オリジナル版の『わにのゲーナ』のリメイク部分は、吹き替え版では、かなり短縮されて上手く組み込まれていた。
ただ、自分の出自がわからず、寄る辺なく寂しいチェブラーシカと、やはり孤独なワニのゲーナが友達になり、そこから友人の輪が広がっていく第1話が、チェブラーシカの世界観の基盤なので、もっと長く観たかった、というのが正直なところ。
誰も一人で生きて行くことはできない、ということ。
自分の世界の扉を開ける、逆に開いている扉から中に入る、小さな一歩を踏み出すわずかな勇気があれば、そこから環が広がっていくこと。
そんな普遍的で温かいメッセージが、『わにのゲーナ』にはあって、人見知りかひどい私は、強く心をつかまれたので、特にそう感じた。
まあ、六本木でフルヴァージョンを観ればいいんだけどね…。

ロシアでは、オリンピック選手団の公式キャラになるほどの国民的人気キラクターの新作映画を日本人監督が制作するにあたっては、当初、ロシア側スタッフから厳しい反応があったそうだ。
しかし、幾多の困難を乗り越えて、名匠・カチャーノフ監督の代表作の世界を壊さず、そこにカチャーノフ監督作品を超える要素として、新作部分にサーカスのモブシーンを盛り込んだという中村監督の志と頑張りには頭が下がる。
実際、サーカスのシーンは本当に素晴らしかった。

良質で心優しい素敵な作品を見せていただいたと思う。
心が洗われた思いだった。


※『チェブラーシカ』のキャラクターやセットのデザインについてや、大橋のぞみちゃんのインタビュー、映画のフォトギャラリーなど、内容豊富な『チェブラーシカ』の紹介ページが、【テレビドガッチ】にアップされています。
ご興味がおありでしら、是非ご照覧下さいませ。⇒ こちら


ますますチェブの魅力にはまってしまい、めったにキャラクターグッズなど買わない私が、映画のカレンダーやクリアファイル、関連書籍等々、買いあさってしまった。
うーーん、『ハゲタカ』もカレンダーとかオフィシャルブックがあればいいのに…。

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