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2010-12-14

熊谷守一美術館初訪問記とNHK『男前列伝』

先日、東京メトロ要町駅の近くに行く用事ができた。
繁華街・池袋の隣駅である要町駅で降りるのは初めてだったが、以前から行ってみたいと思っていた美術館の最寄駅なので、用が済んだら是非とも寄ろうと決意。
決意だなんてオオゲサに聞こえるが、致命的に方向感覚が欠如している私にとって、知らない町の中を10分も歩いていくことは遭難の危険性がある行為に他ならない。(爆)



豊島区立 熊谷守一美術館
 東京都豊島区千早2-27-6
  HP⇒ http://kumagai-morikazu.jp/



要町駅・2番出口を出て大通りを直進し、要町小学校を道なりに左折。
ところどころに案内板が掲示されているので間違いはないと思うものの、静かな住宅街の中に細い道が続いているので、やや不安になる。
「この道でいいのかしら…。」ときょろきょろし始めた頃に、それらしき建物発見。
おお、ここだ。
『美の巨人たち』 『ミューズの微笑み』 『男前列伝』などのテレビ番組で目にした記憶がある外観。
守一が45年間暮らしていた私邸のあった場所に建てられた小さな美術館だ。
守一が毎日愛でた庭の面影は、このケヤキのみ。

Mori02_2

外壁の蟻の絵とサイン。

Mori01

いいね、いいねえ~。
守一ワールドへの入り口だ。


扉の前には、来館者を迎えるように熊谷守一像があった。
守一の次女で、この美術館館長でもある熊谷榧(かや)さんの作。

Mori03 色づいた落ち葉を守一さんがじっくりと観察して楽しんでいるようにもみえる。
今でも、お気に入りの場所に一日中座って楽しんでいるのだろう。



ガラスの扉を押し開けると、向かって右側にカフェがあり、コーヒーの芳香が漂っている。
受付は…?と躊躇していると、カフェカウンターの向こうから若いスタッフさんが、「こんにちは。」と声をかけてくださった。
受付とカフェのスタッフを兼任していらっしゃるらしい。
受付横には絵葉書も置いてあり、ここがミュージアムショップでもあるようだ。
入館料500円を支払い、リーフレットを受取りながら室内写真撮影禁止の旨を確認して、油絵を中心に展示してある1階展示室へ。


テレビの映像で感じたより、小さい部屋だった。
守一の油絵は小品ばかりなので、こぢんまりした展示室でちょうど良いとも言えるが、コンクリートブロックの壁面に囲まれていると、ちょっと息苦しい。
この展示室、真四角ではなくて、壁の一面が湾曲しているデザインになっていて面白い。

手遊びに弾いていたというチェロも展示されていた。
仙人のような風貌の守一がチェロを抱えて樹木の生い茂る庭で悠然と奏でる姿を想像する。
うん、かなり絵になる気がする。
ちょっとファンタジー小説の挿絵みたい…。(空想しすぎ)


1階には、絶筆(正確には、油絵としての最後の作品)の「アゲ羽蝶」もあり、その鮮やかさと生命力に驚かされる。
ここには、自画像や、私の大好きな愛らしい小品、「桜」、「白猫」、「どろ人形」などが並び、一枚ずつじっくり鑑賞。

「仏前」と題する作品には、おいしそうな白いお饅頭が3つ描かれているように見えて、ついつい、「龍馬伝で、武市先生が以蔵に食べさせようとした毒饅頭も3個だったな…そして妙にふくふくしておいしそうだったぜよ…」などという連想をしてしまうダメダメな私。
しかし、この絵に描かれているのは、お饅頭ではなくて鶏卵なのだ。
熊谷守一の長女・萬さんが夭折され、その仏前に供えた鶏卵を描いた作品。
守一さん、目が節穴の私を許してつかあさい…。


NHK-BSの美術番組『男前列伝』で、市川亀治郎さんが感嘆しておられた「夕暮れ」も展示してあった。(同番組については後述。)
対象を見つめつくす達人である守一の目には、西に傾いた輝く太陽もこんなふうに見えたのか…。
金環食みたいだ。
しかし、凡人の私は、太陽を見たら目に悪いじゃない?という感想が先に浮かんでしまったのだった。(泣)

他のお客さんがいらっしゃらなかったので、ゆっくり2周して堪能し、階段を上がって2階展示室へ。
(残念ながらバリアフリーではない。)


2階の展示室は窓があり、美術館のシンボルツリーのケヤキを見下ろすことができる。
1階と比べるとやや広くて開放感がある展示室だ。
2階は書と墨絵を展示してある。
書の事は絵画以上に無知なのだが、おおらかで懐の深さを感じさせる字が並ぶ。
そして、墨絵は伸びやかで自在な雰囲気。
墨絵といっても、墨の線画に色墨で彩色してあるものなのだが、墨が滲んだままだったりして、いかにも素早く筆と心のおもむくまま描いた風情。
なぜかカエルの絵が多かったので、カエルがやや苦手な私は、今度は1周で満足(?)。


3階は貸ギャラリーになっていて、こちらは原則入場無料。
地元の陶芸家さんの個展が開かれていたが、ちょうど関係者とご家族が集合していたらしく賑やかだっので、ちらりと覗いただけで退散。
後で『美術館だより』に目を通したら、創作活動を続けながら長くこの美術館に勤務されていた方の個展だったらしい。
1階のカフェにも親族らしき方々が集まってスタッフさんたちと楽しそうに語らっていらした。


こちらの美術館、元々は守一の次女・榧さんが1985年に創立された私設美術館だったのを、2007年に豊島区に収蔵品を寄贈なさって美術館は豊島区立となった。
榧さんは運営管理を受託している法人の代表として引き続き館長を務めていらっしゃるとのこと。
コンクリート打ちっ放しの殺風景な作りにも係らず、アットホームな空気がが満ちている美術館だと感じたのは、誰よりも、守一とその作品を愛し理解している榧さんが中心になっておられるからだろう。



1月には、守一の油絵を基にしたシルクスクリーン作品の展覧会が3階ギャラリーにて開催されるとのこと。
他館が所蔵している守一作品も、シルクスクリーンで観ることができるそうだ。

「熊谷守一シルクスクリーン展」
  2011年1月11日~24日
   (熊谷守一美術館 3階ギャラリー)


・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆



さて、記事中で触れた『男前列伝』について。
既にNHK BS-hiとBS2で幾度も再放送されたので、ご覧になられた方も多いだろう。
明日と明後日に再放送があるので、熊谷守一の世界にご興味がある方、未見でしたら、ぜひどうぞ。
直前のお知らせですみませんsweat02



男前列伝

番組HP⇒ http://www.nhk.or.jp/artbs/program/index3.html 

「熊谷守一 × 市川亀治郎」
  12/15(水)  午前 8:00~8:29  NHK BS hi
  12/16(木)  午前 8:00~8:29  NHK BS2

(放送日程は、上記の番組HP内【カレンダー】でご確認下さい。)

自宅の庭を小宇宙のようにして日々独り楽しみ、徹底的に対象を見つめていた守一の世界に、市川亀治郎さんが触れて感じたことを真摯に語っておられる姿を拝見して、優れたアーティスト同士は、分野が違っても相手の真髄に近づくことが出来るのかな、と感じた番組だった。

なお、撮影に使用した庭は、熊谷守一邸の庭だったところではなく、番組制作スタッフがロケ用に見つけた個人宅のお庭だという説明が「熊谷守一美術館だより」の2010年冬号に記されている。
(熊谷守一美術館HP内から、「美術館だより」PDFファイルをダウンロード可能。)


この『男前列伝』は、毎回、とても興味深く面白いので、私は第1回からずっと観ている。
レギュラー化する前にパイロット版が今年の3月に1本だけ放映された。
サブタイトルは「歌川国芳×大森南朋」。
現在のレギュラー版とは若干違い、ドキュメンタリー部分と不思議なドラマ部分の混合。
『美の巨人たち』みたいなつくりだった。
『ハゲタカ』ファンにはツボな、日本橋を歩く大森南朋さん、というロケ映像もあったっけ。
もちろん、大森氏は鷲津要素ゼロだったが、猫を抱いて撫で回していたので西野治要素が入っていたかもしれない。(笑)

…なんてことも思い出した熊谷守一美術館訪問なのであった。



★補足★
同館の詳細な紹介記事として、こちらの記事がお薦めです。
弊ブログ記事には無い館内の写真や作品画像が豊富です。
御興味がおありでしたら、ご照覧下さいませ。

 

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