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2011-05-09

ヴィジェ・ルブラン展@三菱一号館美術館(会期終了)

皆様、楽しい連休をお過ごしになりましたでしょうか?
私は、都内の美術館と周辺でぶらぶらして、経済的かつ地味に過ごしました。
どこで何をしたのか、すぐに忘れると思うので、備忘録を兼ねて連休中のお出かけ記事をちびちびと書いていきます。


まずは、5月8日で終了した展覧会の感想。
アップしそびれている間に、終わっちゃった。sweat01

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

自分に足りないものを浴びたくなって、甘美、華麗(←最初に加齢と変換される私のPCって…涙)、優雅…といった要素がたっぷりの展覧会へ、連休前半に行ってきた。



マリー・アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展


【会場】 三菱一号館美術館
        東京都千代田区丸の内2-6-2

【会期】 3月1日~5月8日

展覧会HP ⇒ http://mimt.jp/vigee/index.html

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Vigee02

ブリックスクウェアの新緑が爽やかで、気持ちが良かった。


展覧会のサブタイトルに 「華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」 
とあるように、エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの回顧展であり、同時代の女性画家たちを紹介する展覧会でもある。
震災前に手にしたチラシで知ったのだが、マリー・アントワネットのお抱え画家として高名なルブランの本格的な回顧展が、実は祖国フランスでも開催されたことがないとは意外だった。
日本でも、初めて本格的に彼女の画業が展覧されるというので、これは貴重な機会と思い、出かけたのだ。

また、日本の現況を鑑みれば、しばらくの間は日本で開催される展覧会に、海外の美術館や個人が所蔵する美術品を多く貸与してもらえることは減る可能性が高いであろうから、今のうちに見ておかないと、後悔必至という思いもある。
ものぐさな美術ファンの私も、今まで以上に展覧会に足を運んで美術品と出会いたいと思っている。



美術館入口と最初の展示室は、予想以上に混んでいた。
観覧者のほとんどが妙齢(←察してつかあさい…)の女性というのも驚き。
先月行った岡本太郎展では若い殿方が多かったが、ルブラン展は女性、それもベテラン(←自分も含む)が90%くらいで対照的だった。


ルブランは、マリー・アントワネットの肖像画を描く画家として「ベルサイユのばら」に登場している。
この展覧会には、アントワネットの肖像画のほかに、ベルばらに登場する貴婦人の肖像画も展示されているということで、ベルばらファンと思われる今昔のお嬢さんが詰めかけていたのだろう。

私自身は、ベルばらファンというわけではない。
友達から借りて読んで、とても面白いと思っていたし、アニメも観たけれども、深くハマったというレベルではなく、今となっては細かいところはかなり忘れている。
高校生の世界史の自由研究で、何をどう間違ったのか、ロベスピエールについてのレポートを書いたので、華麗な薔薇の記憶が血なまぐさい政治闘争の話で吹っ飛んだのかも。(笑)
しかし、何故そんなテーマを選んでしまったのか、さっぱり思い出せないし、頑張って書き上げて良い評価をもらったレポートだったということは記憶しているのに、内容も忘れているというボケっぷりが自分で怖い。
というか、どういう女子高生だ。sweat02

ということで、ベルばら的関心は薄めだが、展覧会の内容に興味があり、丸の内へ足が向いたのだった。

全9章建てのうち、ルブラン作品は7章以降。
しかし、ルブランにたどり着くまでも、日本ではあまり紹介されて来なかった18世紀フランスで活躍していた女性画家たちの美しい作品との出会いがあり、深い関心を持って観ることができた。

中でも異色と感じたのは、第3章「フランス王妃マリー・レクジンスカの中国風居室」。
ルイ15世の妃であるマリー・レクジンスカが、ヴェルサイユ宮殿の自室を当時流行のシノワズリで彩るために、4人の画家の助力を得て描いた中国趣味の大きな彩色パネル8枚が展示されているのだ。
画像はこちら

マリー・レクジンスカはポーランド王女で、フランスに嫁ぐ前に父王から絵画の手ほどきを受けていたという。
フランス王妃自らが筆を執った作品が8枚も。
なんと贅沢な!
いずれも見事な出来栄えで、マリー・レクジンスカの技量と教養の高さを感じさせ、そして異国の王宮での彼女の孤独な時間を想像させた。


未知の画家が多いため、職業画家の作品の隣には、画家の自画像の写真入り紹介パネルが添えてあるのが、万年初心者の私には嬉しかった。
どの画家の自画像も麗しく、いちいち「わー美人!」と反応するオヤジ脳な私。
まあ、当時、画家の自画像はサンプルであり、宣材でもあったろあから、少しは美貌と雰囲気が水増しというケースもあったかも?

展覧会全体が、明るく優美な絵が多く、絵画の相棒である額のデザインも可愛いものや、豪華で凝ったなものが多くて、これぞロココという空気が流れていた。
自分に足りない甘美な空気をたっぷりと吸い込めた。
吸い込んでも身にはならなかったのが哀しいが。


特にお気に入りの作品、印象深かった作品を少し挙げておく。

まずは、こちらの美女。

Cape

        マリー=ガブリエル・カペ 「自画像」

上野の国立西洋美術館で御馴染の美女・カペ。
ブルーのドレススとリボンがよく似合っている。
なんて素敵なんざんしょう。
余裕たっぷりで自信に満ちた微笑が、西洋美術館では、私の眼には奔放で高慢そうにも見えていた。
ま、そこが魅力的で好きなのだけど。
1783年、22歳の自画像だそうなのだが、22歳の若さで、この美貌と才能なら、こういう表情になって当然。
ていうか、これで正解。(笑)
でも、丸の内の三菱一号館では、西美で観ている時より明るめの照明で観たせいか、展示室の雰囲気のせいか、いつもよりも愛らしく溌剌としたお嬢さんに見えて、いつまても飽きずに見つめてしまい、一度離れた後に、また戻って観てしまった。
やはり、照明や展示されている場の様子などで、絵は違って見えるものだと、と改めて実感。
そういえば、高めの位置に展示されていて、カペから見下ろされている感じがして、そこがまたしびれたような気も。
あれ??(笑)


さて、カペにみとれた後は、主役のルブランの作品。
この人も、才能と美貌に恵まれた画家だ。
彼女は画家の娘として生まれ、十代からその才能を発揮していた。
十三歳の時に弟を描いた作品が素晴らしい。

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         ヴィジェ・ルブラン 「画家の弟」



知的好奇心旺盛そうな美しく澄んだ瞳。
こちらに微笑みながら語りかけたくるような表情。
なんて素敵な美少年。
それにしても、十三歳でこれほどの肖像画を描くとは。
エリザベト・ルイーズ……怖ろしい子!



ルブラン作品は、フランスをはじめとする宮廷を彩った王族や貴族たちの肖像画が並んで、百花繚乱。

ベルばらにも登場しているポリニャック夫人の肖像画も。
綺麗なのだが、ちょっと意地悪そうに見えるのは、気のせい?(笑)

Pic01

       ヴィジェ・ルブラン「ポリニャック公爵夫人」


ルブランの作品は、いずれも明るく美しく気品があり、モデルを魅力的に描いている。
特に女性ならば、「この画家に自分の肖像画を描いてもらいたいわ♪」と思うはずだと納得。
現代でも、女性を綺麗に撮るのか上手いカメラマンて、いるでしょ?
そういう感じではなかったのかしらね、ルブランの評判が上がり始めた頃って。

でも、ルブランの肖像画は美しく気品があるだけでなく、人物に血が通っているように生き生きとしていてデリケートで、まるで描かれている人物から目で呼び止められているような気がして引き込まれる。
この感覚は、実際にルブランが描いた肖像画の前に立たれた方には少しは理解していただけると私は(勝手に)思うのだが…。

描かれている人と画家かどういう会話をしていたのか、モデルが何を思っているのか、想像してみたくなる。

優れた肖像画家が皆そうであるように、ルブランはモデルの内面を描き出すことに成功していると感じた。
ルブランは、きっとモデルと笑顔で雰囲気良く話しながら、実は外見と内面の両方を鋭く観察して描いていたんではないだろうか。



7章で、ルブランと並んで取り上げられていたのが、ルブランのライバルでもあるラビーユ=ギアール。
前述のカペは、ギアールの弟子であり、長く恩師夫妻の傍にいてく交流していたという。

彼女の作品の中では、師匠であり、後に再婚相手となったヴァンサンを描いたこの一枚が出色だと思った。

Vansan

アデライド・ラビーユ=ギアール 「フランソワ・アンドレ・ヴァンサン」

ヴァンサンの人柄と知性がにじみ出る素敵な肖像画。
画家とモデルの信頼関係も感じられる良い表情だ。


ギアールと同時に、女性画家として初の王立絵画彫刻アカデミー会員となったルブランだったが、革命で運命が変転。
王妃お抱えの画家として命を狙われる前に愛娘を連れてフランスを脱し、イタリアへ向かう。
フランスに残った画商の夫は、亡命ではなく絵の勉強のためのイタリア遊学だと革命政府筋に説明して、妻の立場を護ったそうだ。
ルブランはイタリア各国の王族から歓待され、その後、オーストリア、ロシアの宮廷からも強く請われて、旅を続け、描き続けた。
異郷の地でも研鑽を積み続けて作品は高い評価を得ていたが、フランス革命が収束すると、母国の画壇から請われてフランスに無事に帰国した。
その後も長く第一線で人気・実力を兼ね備えた画家として活躍していく。
亡命中や帰国後の作品も豊富に並んでいて、試練を乗り越えて彼女が画家としてステップアップしていったことも良く分るような構成になっていた。

こうして彼女の作品を観て行くと、ルブランが秀でた画才だけでなく、その人柄も、アントワネット始めとする王族・貴族などのセレブや同業者たちから愛されていたのだろうと思われた。
特に、この自画像の表情なんて、とても優しくて愛らしくて、こちらも微笑んでしまうし、心を開いて仲良くなりたいタイプの女性に見える。
同性からも好かれる自立した美人って最強。

まさに、絵筆と自分の才能と人柄で生き抜いた美貌の才女。
日本だったら、大河ドラマとかテレビ小説のヒロインになりそう?

Lebrun    
    エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「自画像」


マリー・アントワネットは、ヴィジェ・ルブランを宮殿に招いて肖像画を描かせている時、二人で楽しくおしゃべりしたり、一緒に歌って過ごすこともあったという。
華やかな牢獄に暮らす王妃にとって、同い年のルブランと向き合う時間は、心が楽になる嬉しいひと時だったのではないだろうか。


華やかな画題の美しい絵に見惚れながらも、当時のフランス画壇と女性画家、モデルとなった人々に思いを馳せることもできた展覧会だった。
このように、テーマに沿って工夫して作られている展覧会は、今まで知らなかった何かや誰かに関心を持ち、調べたり考えたりするきっかけになって、とても楽しく有意義だ。
まだ若い美術館だからこそ挑戦できるテーマが色々とあると思うので、三菱一号館美術館のキュレーターさんたちには、今後もこういう素敵な企画を期待している。



鑑賞後、グッズ売り場に立ち寄ったら、ピンクで統一されていて、薔薇がふんだんに飾られ、薔薇の香りがほのかに漂い、なんとまあロマンティクなこと。
特設会場では絵葉書を数枚買い、常設のお店では先日の記事で触れた着せ替え人形の本を買ってしまった。
ささやかに、日本経済のために頑張って(?)おりますよ。(笑)

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