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2011-08-14

フェルメールからのラブレター展@京都市美術館

公私ともバタバタしているうちに、半月以上もブログを更新できずにいましたよ…。
その間も、僻地まで御来訪いただいていた皆様、すみません。
少しずつ更新していきますので、思い出していただけたら覗いてやってみてくださいませ。



さて、本題……。
京都市美術館で開催中の「フェルメールからのラブレター展」を観てきた。
10日以上も前のことなので、混雑状況は参考になりませんので、悪しからず…。

Art_00

京都市美術館HP

「フェルメールからのラブレター展」HP



近所に出かけたみたいにシレッと書いたが(笑)、私の生息地は南関東なので近所でもなく、「そうだ、京都いこう。」と思い立ってふらりと出かけたわけでもない。(爆)

今年は、夫も私も勤務先の節電対策の影響で夏季休業が通常と違う扱いになったため、珍しく二人の夏休みが一緒の時期にとれた。
(通常は双方とも一斉休暇だ。)
ふたりとも実家は東京だからいつでも行けるし、せっかくだから小旅行でもしましょうか、という運びとなった。
しかし、ギリギリの時期に夏休みが決まったので、人気の場所は予約が取れないだろうし、海外に行く財力も体力も無い。
シーズンオフのところがいいかと思い、暑さを覚悟で京都に数日滞在することにした。
で、京都市美術館で『フェルメールからのラブレター展』を開催中であることは承知していたので、「これは是非とも観なくては!」と、日程に組み込んだのだ。 


同展覧会は、10月からは仙台、年末からは東京に巡回するので、待っていても良いのだが、東京会場(Bunkamura)ではひどく混むに決まっている。
京都でなら、少しは混雑もましかもしれない…と、やや根拠が薄い予想を立てて京都市美術館に出かけたのだ。
結果、ストレス無しでしっかりと観られて、本当に良かった。


ずぼらで出不精な私は、国内では東京でしかフェルメール作品を体験していない。(海外でのフェルメール鑑賞はニューヨークのメトロポリタン美とフリック・コレクションでのみ。)
2008年東京都美術館での『フェルメール展』で一挙に鑑賞作品数が増えたものの、今年来日した『地理学者』は混雑に恐れをなしたのと、たとえフェルメール作品といえども男性を描いた作品にいまいち気合いが入らなかったという、アートに若干の関心がある人間としてはダメダメな態度のため、結局は鑑賞できずじまい。
どんどんひきこもり度が強くなっている昨今である。

しかし、.3枚のフェルメール作品と一度に京都で会えるなんて、これはまさに僥倖。
3作品のうち、『手紙を読む女』は3回目(確か…)、「手紙を読む女と召使」は2回目の再会であるが、初来日の「手紙を読む青衣の女」と合わせて3作品を一度に旅先で観られるなんて、かなりワクワクする。
混んでいようが暑かろうが、行くぜよ!
と鼻息も荒く早朝の新幹線「のぞみ」に乗ったのである。


出かけたのが週末だったので、午後のほうが空いているかも?と思い、南禅寺近くで昼食をとって、プチ観光をしてから、日傘をさしてぶらぶらと疏水沿いに散策しつつ、京都市美術館を目指して歩いた。
曇天ではあったが、さすがに昼下がりで暑かったものの、日陰ならばそれほど厳しくはなく、何年かぶりの道を夫と今までの京都訪問の思い出をしゃべりながら歩いていたら、あっという間に平安神宮の鳥居が見えてきた。
京都市美術館は平安神宮の御近所。

Art01

周辺には平安神宮を目指す観光客丸出しの人々ばかり(自分もだか…)だったので、「やっぱり展覧会空いてるんじゃね?」とほくそ笑んだが、正面玄関前には入場待ちの行列用らしきテントが。
しかし、テントの下には行列はなく、皆さんすいすいと入口に向かっている。
朝はテントの下に行列ができていたのかもしれない…。

入場していく人々は、(たぶん)地元の方の御様子で、関西弁ばかりだ。
うーーん、異国情緒(は?)たっぷり。

Art02

チケットを購入し、日傘を畳んでバッグにしまって入場しようとすると、入口で目を光らせているバイトっぽいお兄さんが「傘をお持ちになって入場はできません。傘立てかロッカーに入れて下さい~」と私に厳しく注意をしてきた。
「はあ…」と視線を返すと、よほど怖い婆さんに見えたのか、お兄さんは「ロッカーはお金が返ってきますので…」と急に気弱に付け加えたのだった。
えーー、そんなに怖くてケチなおばあちゃんに見えたかしら…?と夫に囁くと「口がへの字だよ…」と指摘されてしまった。
あらら…。


ロッカーも十分に空きがある。よしよし、混雑はひどくなさそうだ。
日傘や諸々をロッカーに預けて、いざ、会場へ。
会場前にも行列用のスペースが儲けられているが、ここにも人は並んでいない。ヤッホー。
と、喜んだものの、会場入口は人垣が…。
まあ、たいていの展覧会では、入口に掲げられているパネルを丁寧に読む方が立ち止まるし、しょっぱなの展示作品に重要なものを配置することもある。
そんなわけで、入口付近は行列が動かない。
この展覧会は、第1~3章でフェルメールと同時代の17世紀オランダ風俗絵画をたっぷりと展観して、ラストで目玉のフェルメール……という、フェルメールの名前を打ち出した展覧会では御馴染の(?)構成。
万年ずぼら鑑賞者の私は、本命フェルメール前には気力体力温存の意味もあり、サラサラーッと流して、ところどころ興味をひかれた数枚のみ、行列の切れめから近づいてじっくり鑑賞。
最近の大型展覧会は会場の内装も凝っていることが多いが、こちらの会場は全体にシンプル。
東京会場のBunkamuraは、凝った会場デザインを採用することが多いので、どうなるだろうか。


いよいよ、最後の第4章の部屋にフェルメールの3枚が待っていた。
こちらの部屋は、フェルメールのブルーと調和させるためにか、ブルーの壁だ。
3枚の前には短い行列ができているものの、ゆっくりと前進しているので、並びつつ、じっくりと近くで鑑賞できた。


1枚目は「手紙を書く女」。
机に向かって手紙をしたためている鮮やかな黄色い衣装の若い女性がこちらを見つめてくる。
リボンや大粒の真珠のイヤリングをつけている彼女は、どこか意味ありげな表情を浮かべている。
机に置かれた真珠のネックレスと彼女のイヤリングが左側の窓から差し込む光を受けて清楚に輝いている。
衣装も表情も可愛いなあ。
うーーん、やっぱりフェルメールが描く女子はいいですな。


2枚目が修復後、初来日した「手紙を読む青衣の女」。
フェルメール作品ではおなじみの室内に左側から差す柔らかな光の下、手紙を握りしめるようにして自分に引き寄せて集中して読む女性。
身につけている服は、はっとするほど鮮やかで輝くような青。
フェルメールの青は、本当に美しい。
他の2枚と比べて、室内に配置されている品は少なく、色数も抑えてあるので、かえってこの女性が読む手紙の内容や、それを読んで彼女の内にどんな波が起きているのかが気になる。


3枚目は「手紙を書く女と召使い」。
こちらの登場人物は二人。
机に向かって手紙を書いている女性と、窓の外に目をやって書きあがるのを待っている召使い。
床に打ち捨てられている手紙が何やら劇的な場面の後であることを想像させるけれど、画面上からは、やや冷ややかな静かな空気を感じる。

3枚をじっくりと鑑賞した後、この3枚をもう一巡。
短い行列なので、それが出来たのだ。ラッキー♪
1回目では登場人物に集中して観たが、2回目では背景や全体も目に入った。
うん、やっぱり京都で観て良かった。

万年初心者の素人なので西洋絵画史や技術的なことに関わること等は書けない。
が、ストレス無しでじっくりと鑑賞できたため、ずぼら初心者でも、改めてフェルメールが日本人に人気がある理由の一端が感じ取れた。
フェルメール作品は、静かで品格高く、全体の構成要素も動きを含めた感情表現も抑えめだ。
描かれている場面に物語性があるようでないようで。
あいまいにされているところが多く、描かれている場面の解釈を作者が委ねてくれているようにも思える。

時代は下がるが、同じく静謐で品があって抑えめな作風のハンマースホイが鑑賞者の解釈を拒絶しているようなところがあるのに対して(ハンマースホイの無音の世界も好きだ)、画面の中に入り込むことを、遠くにいるフェルメールが許してくれている気分になってくる。
登場人物の表情が穏やかで内面が推し量りにくりけれど、拒絶はされていないように感じるのは、フェルメールが観る人に対しても眼差しを向けていたからかもしれない。
なるほど、だから「フェルメールからのラブレター」?(なのか?)
こういう作風は、日本人にはたまらない。(独断的意見/笑)
少なくとも、私はフェルメールの画面構成や色彩だけでなく、この静かさや委ねられている感じに強く惹きつけられる。


会場はストレス無しで見られたが、グッズ売り場は大混雑でドつかれたり、大きいトートバッグで押されたりで、京都なのに「はんなり」が感じられず参りました。(笑)

鑑賞後、平安神宮の庭園鑑賞や美味しいスイーツのお店も…と思っていたが、美術館を出るとかなり暑くなっていたので断念し、ホテルに戻ることにした。
もう歳なので、無理は禁物。


美術館を出て、少し歩いて振り返ると、疏水越しに東山が見えていい感じだったので、1枚。
涼しげに見えるけれど、このとき相当に暑かった…。

Art03

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コメント

おはようございます 美冬さん

相変わらずお美しいお写真ですね。

京都までフェルメールの追っかけですか(違)。
私は「地理学者」を今年見たのが初めてですが(多分)
その「青}の美しさと一見しただけでは全てを
理解することは難しいほど詳細に緻密に描きこまれた
背景と相反するような「学者」のぼんやりとした
表情(失礼)作品数の少なさや作者自身の略歴の
ミステリアスさ加減からフェルメールの作品に
「恋に落ちて」しまう人が多いのかと妙に納得
しました。

こちらの展覧会もBunkamuraに来るのを楽しみに
していました。美冬さんの記事で余計に待ち遠しく
なりました。

で、この後の京都滞在記はもちろん美冬さんの
忠実な執事さまが我等が大友啓史監督のメガホンで
ハリウッドデビューを飾られる通称「るろ剣ムービー」
撮影日記へと続くのですよね?

「殴られるほど暴力的な暑さ」という京都でも
大友監督の「はい今の良かったですよ。もう一回♪」
という情け容赦ない掛け声がキャスト、スタッフ、エキストラを凍りつかせ撮影終了後はいい絵が撮れたとご機嫌な
監督以外は真っ白に燃え尽きているとか噂の撮影現場だ
そうですから。

同じ時期に同じ京都の空の下にいらした事はよい
思い出になり映画を観る度に思い出すのではないでしょうか。

私も遥か彼方な遠い昔に祇園祭に行った時に
熱中症(当時は日射病)で倒れてカメラを道路に
落っことして壊した思い出があります。
何でしょうあの京都の体にまとわりつくような
息が詰まるような暑さは。東京も大概暑いですけどね。

そしてこの後は美味しいハモ(梅だれ♪)や京都
ならではの絶品スィーツの記事が続くのでしょうね。
楽しみです。

追記 このところテレビで「日輪の遺産」のCMが
やたら流れるようになってきましたね。
堺さんが軍服姿で走っているシーンでは
ナゼかお見かけする度に笑いがこみ上げてしまいます。
なんか女の子みたいなカワイイ(失礼)
走り方に見えてしまうんですよね。


むぎこがしさん


いらっしゃいませ♪
御来訪&コメントありがとうございます。


私のぼんやりした感想で、むぎこがしさんが同展覧会への関心をもたれる小さなきっかけになったのなら嬉しいです。
フェルメールが描く女性は本当に雰囲気があって素敵なので、是非是非~♪
私は「地理学者」を観に行かなかったモノグサなので、渋谷に巡回して来ても、腰が重いかも…。


>>で、この後の京都滞在記はもちろん


もちろん、ご期待に添える記事はございません。(泣)
普通の…というより、かなりユルユルの京都滞在メモを幾つか書く予定ですが、残念ながら映画撮影絡みの話題は1ミリも無しです。
万年廃人見習いですので、どうぞ大目に見てやって下さいませ。
でも、nextハゲタカのために、大友監督が制作中の映画は観ますよ、もちろん。

>>堺さんが軍服姿で走っているシーンでは
>>ナゼかお見かけする度に笑いがこみ上げてしまいます。

ふふふ…堺さんが軍服姿で走っていると、私はついつい『クヒオ大佐』を連想してニヤリとしてしまいます。(間違っちゅう)


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