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2012-01-12

上田宗箇 武将茶人の世界展@松屋銀座

先日、銀座の松屋へ出かけた際に、店内に掲示してあったポスターが眼に留まった。
上田宗箇(そうこ)って、『へうげもの』に出てくる上田左太郎だっけ?
NHKで放映中の『へうげもの』を観ている私は、時間もあるし観てみようかという軽い気分で、店内に置いてあった割引券付のチラシ(1000円→900円)をしっかと握り締め、いざ。



「ウツクシキ」桃山の茶 秀吉、織部そして宗箇
生誕四五〇年記念 上田宗箇 武将茶人の世界展

 松屋銀座 8階
 2011年12月30日(金)-2012年1月16日(月)

*** 展覧会概要 ***

桃山時代、武将で茶人、かつ作陶も行った一人の人物がいました。
その名は上田宗箇(1563-1650)。
秀吉の側近大名として仕え、武士として一番槍にこだわって勇名を馳せ、関ヶ原の合戦後、広島に移封した縁戚の浅野家で一万七千石の客分として過ごしました。
一方、時の天下一宗匠 古田織部の直弟子として茶の湯に深く傾倒し、共に武家の茶に相応しい価値観の創造に努め、今日まで続く上田宗箇流茶道の礎を築きました。
宗箇は、利休の一切をそぎ落とした「わび」と、織部の多様な「へうげ」の世界を融合させ、自らの茶道具の美意識を「ウツクシキ」という言葉で語っています。
本展は生誕450年を記念し、武将茶人・上田宗箇の美意識の真髄に迫ります。自作の赤楽茶碗 銘「さても」や大坂夏の陣の行軍中に削った竹茶杓 銘「敵がくれ」のほか、秀吉・織部・家康などとの親交を示す上田家伝来の歴史資料や茶道具の名品約150点を展観。また、かつて広島城内にあった上田家上屋敷の茶室「遠鐘」や鎖の間を再現し、日本文化史上、最も華やかであった桃山の「ウツクシキ」武家茶の世界を紹介します。
(松屋銀座webサイト より)


会場のある8階に上がると、目の前には和服のマダムが大勢いらして、まあ華やかかこと。
「さすがに茶の湯をなさる方がたくさん……」と一人合点したが、そのマダムたちは、同じく8階で開催されていた「銀座きもの初市」なるセールのお客様であった……。

武家の茶というシブい展覧会なので、空いているかも…と思って入場したのだが、混雑とまではいかずとも、なかなか盛況。
展示品によってはプチ渋滞も生じていたが、かなりオトナな観覧者ばかりなので、適宜、別の空いているコーナーを先に観るなどして各自でうまく調整していて、ストレスはほとんど感じなかった。

いかにも茶の湯に通じています、というような方ばかりのようで、興味だけでフラフラと入ってしまった観覧者は私だけだったかも…(汗)
ちなみに、私の茶道経験は、高校生の時に、2年間だけ茶道部に在籍して表千家の茶の湯を習ったのみ。
お菓子目当ての「なんちゃって部員」だったため何も身につかず、今となっては基本所作すら忘れているのである。
そんな私なので、茶道具の鑑賞能力はゼロ。(きっぱり)
しかし、上田宗箇のことや茶の湯のことをよく知らない人にも、ある程度は理解できて興味を持てるように、わかりやすいキャプションがついているので大いに助けになった。

さらに、『へうげもの』の作者・山田芳裕氏直筆の織部と宗箇のツーショット絵が展示されていたり、『へうげもの』の画を使った人物相関図パネルがあったりして、『へうげもの』を通じてしか宗箇を知らない私も楽しく観ることができた。
上田宗箇流の点前のビデオ、宗箇についての紹介ビデオも流れており、いたれりつくせり。

なお、日時によっては、上田宗箇流のお点前でお抹茶とお菓子をいただける茶席を設けてあるとのこと
(残念ながら、私が拝見した日には未だ無かった。)



その他の象に残ったことについてだけ、さらっと。

会場に入ってすぐ、造花の枝垂れ桜の下に荷い茶屋(モバイル点前セット?)の設えと、ポスターにある赤地に金糸で波の文様を表した陣羽織が展示されている。
武将と茶人、ふたつの顔を持つ上田宗箇の魅力をあらわしているのだろう。


展示の目玉のひとつである御庭焼の赤楽茶碗「さても」は、炎を思わせる赤が印象的。
へらで一気にザクッと表面を削いであるのが、いかにも勇猛な武将らしい。
武断、という言葉が思い浮かんだ。
強い茶碗だ。
しかし、内側は綺麗に円くならしてあり、そこに宗箇の指の跡が残っている。
土の感触を慈しみ堪能してなでていたのだろう、焼きあがりを見て大いに喜んだだろう、と想像できて、宗箇の存在が近くなった。
「さても」には、晩年の彼の心境が沁み入っているのかもしれない。

へうげものスタッフブログに、山田芳裕氏が「さても」と対面した際の記事が載っている。 (vol.563. 上田宗箇作 赤楽茶碗 銘「さても」 )
上田宗箇流家元の懐の深さ、かっちょええー!


織部好みの沓型茶碗も展示してあった。
斬新で独創的。
シャープで表情豊かで、とても面白い。
織部のキャラクターそのもの。
しかし、私にはちょっとアヴァンギャルドすぎて(?)、茶をいただいても落ち着かないかも……って、そんな心配いらんけど。(笑)


とか、つらつら書くと、さもわかったふうだが、茶道具も資料も盛りだくさんに展示されており、途中からは、やや流してしまった。
ま、ド素人で知識や興味が足りないから、なかなか集中力が続かない。
それでも予定をオーバーして1時間くらい、じっくりと鑑賞させていただき、大満足。


桃山時代、大きく日本人の美の価値観が変化し広がっていった。
その渦中に飛び込み、美を発見し、自ら美を創り上げ、美を発信した男たちの一人が上田宗箇であったことを知る機会を得られて良かった。
彼の愛用した品々、彼の作品である手びねりの茶碗や竹の花入などから、苛烈で大胆で潔くて、心から美しいものを愛する人だったのだろうなあ、と想像させられた。

この展覧会は2月11日より、上田宗箇流の本拠地・広島で開催される。
会場はひろしま美術館。(詳細は⇒こちら

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